labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

今年はパース没後100年。

授業も、残すところあとそれぞれ一回となった。後学期は、哲学演習はすでに今日で終了。西洋思想史は、「生命・進化・情報」をテーマに科学思想を踏まえてカントの有機体論、ダーウィンの進化論、フロリディの情報学などを概観してきた。哲学講読ではベルク…

「原子論」関連文献

「ライプニッツと原子論」という課題で依頼原稿を、少し前に受けた。『モナドロジー』成立300年の祭典に向けて、来期は個体論をはじめとした思想史の授業も行う予定。研究も授業も、ライプニッツの「連続体の迷宮」とからめて、連続体の問題と個体の形而上学…

西欧哲学史関連文献の電子図書館

主に仏語を中心とした西欧哲学を研究する上で、たいへん便利なサイトを発見しましたので、ご報告します。現在では、Google booksやGallica、Internet Archiveなどを通じて、西洋哲学の古典の多くが電子媒体で読めるようになってきました。以下のサイトでは、…

『小学館ロベール仏和大辞典』iPhone/iPadアプリ購入

今日は誕生日でしたが、特に変わらない日を過ごした。 早朝は、来年の西洋思想史の授業で個体論をテーマにやろうかなと思っているので、Alain de LiberaのArchéologie du sujetを読み始める。『モナドロジー』300年でもあるので、来年度の授業は、基本的には…

チェロとお見合い

チェロとお見合いしてきました。直観的にこれは良いものだなと思い、あっという間に恋に落ち、その日のうちに、スピード結婚。ここで出会ったのも何か偶然の縁。信じていない運命とやらを感じました。富山にきてわりと間もない頃、チェロを再開したいという…

連続体の哲学史に向けて

1月から業務が再開され、せわしない日々を送る中で、連休中は自宅にただ引き蘢って黙々と仕事や研究を進めた。自分の限界をみつめるなかで、自分が本当にやりたいことをみつめなおす機会を得たように思う。自分の研究は、「連続体の哲学およびその歴史」が…

実数体の構成を扱ったテキスト

教科書 齋藤正彦『数学の基礎 集合・数・位相』東京大学出版会。Rudin『現代解析学』共立出版。松坂和夫『代数系入門』岩波書店。赤摂也『実数論講義』SEG出版。※たぶん、下から上に難易度・取り扱いの洗練度があがる。 ※杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版…

ラテン語学習サイト

山下太郎のラテン語入門日本人のためのラテン語"How to Learn Latin" via TRIUMVIR SAPIENTIAE 山下太郎『しっかり学ぶ初級ラテン語』 ※これまでいくつかラテン語入門書を読んできたが、ここまで丁寧かつ詳しく説明してくれているものはない。独習用の決定版…

抽象と直観(3)

稲垣良典『抽象と直観』 第二章「トマスの霊魂論ーー自己認識の問題」 をざっと読む。トマスにとって、認識のパラダイムは神的認識であり、人間精神の自己認識は、神および天使における自己認識をよりどころとせねばならないものであった。トマスによれば、…

抽象と直観(1)

稲垣良典『抽象と直観』を読み始める(再読だが、きちんと読むのはこれがはじめてかもしれない)。抽象と直観―中世後期認識理論の研究作者: 稲垣良典出版社/メーカー: 創文社発売日: 1990/03メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見…

抽象と直観(2)

続いて、 稲垣良典『抽象と直観』第一章「霊魂論の崩壊と認識理論の変容」 についてまとめていきたい。 オッカムは、カントのいわゆるコペルニクス的転回を先取りしていた。「対象がわれわれに与えられるのは感性的直観においてのみである」とするカントの主…

ライプニッツとリンの発見

ライプニッツはピエール・ベイル宛書簡(1687年1月9日)で、次のように述べている。 何年か前に発見された真なるフォスフォラス[光をもたらすもの、すなわちリン]すなわちこのfeu maniableが、その発明家によってここに加工され証明されたように、また、私の…

『最新 心理学事典』「空間知覚」の項

帰省前に資料をコピーしたり取り寄せた図書を返却する。図書館に、最近出た『最新 心理学事典』というのが置いてあったので、パラパラ見ていた。最新 心理学事典作者: 藤永保出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/12/13メディア: ペーパーバックこの商品を含…

知性の抽象をめぐって―ものの十全な認識に関するデカルトの手紙―

『デカルト全書簡集』(知泉書館)にある、「デカルトからジビューへの手紙」を原文を参照しつつ読む。難解なテキストで、丁寧かつ正確な翻訳であると思うが、なかなか日本語が頭に入ってこなかったため、訳文には自分の言葉に少し置き代えたものもある。デ…

今年最後の授業

午前はベルクソンの『創造的進化』。ここまで読んできて、ベルクソンの論調は、おおよそ掴めてきた感じ。科学が捉えきれない生命の連続性を主張するあたりは、ワンパターンではある。数学に関しては、本当に初歩の微分積分程度しか知らないようだが、わりと…

神保町・カレー

出張帰りに神保町に寄った。行くところはだいたいいつも、明倫館と田村書店、書泉グランデの数学書コーナー。田村書店で洋書を漁っていたら、たまたま今度扱うテーマの背景を知るのに、恰好の書がみつかった。本との出会いは何か運命的なものだ。限られた量…

バロック・スコラ哲学研究会に参加してみた

今日は、山内先生が主催するバロック・スコラ哲学研究会(於 慶應大学)に出てみました。ライプニッツの数学と形而上学の関係、そして、近世期の想像力や抽象の理論を考える上で、その背景となる哲学を知ることは勉強になるだろうし、何よりラテン語の勉強に…

精神による形象化―デカルト『思索私記』についての読書ノート―

デカルトを読んでいると興奮する。 Ut imaginatio utitur figuris ad corpora concipienda, ita intellectus utitur quibusdam corporibus sensibilibus ad spiritualia figuranda, ut vento, lumine: unde altius philosophantes mentem cognitione possumu…

朝は自宅で仕事、午後は大学で仕事、卒論指導。少し風邪気味だったが、風邪薬飲んで持ち直した。夜は、福井純『スピノザ「共通概念」試論』を読んでいたが、言い換えをしているところも私には不明瞭に感じるところが多く、非常に読みにくい。スピノザの言語…

研究メモ:個体と抽象

ライプニッツにおける数学的存在と抽象の理論に向けて、このあいだの日本ライプニッツ協会大会での発表後、山内志朗先生に指摘された文献の一つ、 Larence B. McCullough, Leibniz on Individuals and Individuation: The Persistence of Premodern ideas in…

数学的対象の知覚論に向けて

今日は午前はロジックの勉強会.非常に複雑なところ.モデル理論を基礎から叩き込まないとダメっぽい.午後は翻訳作業をしてたが,そのあと寝込む.風邪で熱が出たようだ.寝たらたぶん治った.のどが乾いて,みかんを6個食べた.夜はまた別の翻訳仕事をちび…

午前はベルクソン『創造的進化』の授業。今日はベルクソンの哲学観が登場し、しばし考えさせられた。すなわち、ベルクソンは、日常的思考・科学的思考に共通する、同じものの反復や既知のものとの類似性をついつい求めてしまうという、知性が本能的に持つ傾…

研究を進めたかったが、生活的なことどもや、仕事の事務的なことどもをしたりで、あまり進まなかった。それでも、もう1つの翻訳依頼の仕事を始めた。夜はドイツ語翻訳。だいぶ慣れてきたので、ドイツ語を本格的に身につけるべく、DudenとLangenscheidtの独独…

午前は研究書を読みつつ、翻訳の直しと訳注・解説の作業。風邪っぽいので少し昼寝。午後はRV531の譜読みをしてから、PC内の資料を少し整理。数理哲学史の勉強もしなくてはと、デカルト『幾何学』の佐々木力氏による解説を読んだ。なんだか訳書の解説というよ…

気づかせたい

午前は業務、午後は西洋思想史の授業。昼のあいまの15分ほどに、前回やった授業との関連で、『科学と宗教』「ダーウィンと進化」の章を読む。今日は、セル・オートマトンの思想史について授業する予定だったが、そこまで入らず。デネットの、"ダーウィンの発…

日記を再開したい

富山は本格的に雪が降りはじめた。朝は3時に目覚めてしまったので、翻訳の仕事。まだ雑すぎるしわからないところだらけだが、1つ下訳を終えた。そこで、ほっといていた組版にとりかかるが、なかなか苦労している。今日は、TeXで図や表を左(右)、右(左)…

[『ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡』(Paul Lodge訳)紹介

少し前ですが、ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡が、ポール・ロッジによる新訳で刊行されました。羅英対訳本です。GarberとSleighが編集のYale Leibniz SeriesとしてYale大学出版局から出ています。Yaleはたしか、ライプニッツ研究者のAdams夫妻がいた…

【ライプニッツ関連新刊紹介】G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)

先日発売された、G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)の解説部分を読みました。形而上学叙説 ライプニッツ−アルノー往復書簡 (平凡社ライブラリー ら 7-1)作者: G.W.ライプニッツ,橋本由美子…

8/5-7に行われた数学基礎論サマースクール@慶應義塾大学に参加してきました。久々の母校です(学部は慶応でした)。帰ってきたついでに、図書館の入館証の更新もしておきました。パリのソルボンヌ大学やパリ市の図書館、およびフランス国立図書館もすばらし…

「論理的思考のすすめ」期末試験問題およびその解答篇

昨日、哲学演習「論理的思考のすすめ」の試験を終えました。みなさま、たいへんお疲れ様でした。試験後、ささやかな打ち上げを行い、互いの労を慰め合うなどしたのでした。 ちなみに、打ち上げの費用はすべて私が持ちました(しくしく)。注文したお寿司を受…