labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

2014-01-01から1年間の記事一覧

筑波大学附属図書館貴重書コレクション

国内でも、西洋の数学や哲学の貴重書が電子化されているものがありますが、筑波大学はなかなか充実していると思われたので紹介。筑波大学附属図書館から、次のところに入ります。貴重書コレクション(電子化リスト)下の方までスクロールすると、分野別に貴重…

仏語圏ライプニッツ協会

Claire Fauvergueさんからお知らせをいただきましたが、「仏語圏ライプニッツ協会」(Société d'études leibniziennes de langue française)のサイトができていました。http://leibnizsellf.org/(サイドバーのリンク集にも反映しました。ライプニッツ研究…

村上勝三『知の存在と創造性』読書メモ(1)

村上先生から先日、出版されたばかりの新著、『知の存在と創造性』をご恵投いただきました。記して感謝申し上げます。目次は知泉書館のホームページにあります。知の存在と創造性作者: 村上勝三出版社/メーカー: 知泉書館発売日: 2014/11/15メディア: 単行本…

思考の認知哲学とは何か

太田紘史「序論 思考の認知哲学」(『シリーズ新・心の哲学� 認知篇』pp.1-28)をざっと読んだので、そのただのメモ。シリーズ 新・心の哲学I 認知篇作者: 信原幸弘,太田紘史出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2014/05/14メディア: 単行本この商品を含むブロ…

『モナドロジー』(1714)の概要

まず、モナドの定義から始まる。モナドとは「部分を持たない」という意味で単純な実体であり、複合体とは諸モナドの寄せ集めである。モナドこそが「自然の真のアトム」、すべての事物の要素である(§§1-3)。このモナドというものは、創造と消滅を通じてしか…

「モナドロジー300 年」シンポジウム

来週、関西哲学会で発表をします。 関西哲学会シンポジウム「モナドロジー300 年」 於 関西学院大学10/26(日)14:45--17:15(A 会場) 「モナドロジー前史―中期ライプニッツ哲学における点とモナドをめぐって」稲岡 大志(神戸大学) 「連続体におけるモナドの位…

ガーバーの「モナド論的読み方」批判

Daniel Garber, Leibniz: Body, Substance, Monad. Oxford: Oxford University Press, 2009. ガーバ―は、初期や中期にすでにモナドの考え方があった、というような、「モナド論的読み方」に懐疑的である。「モナド論的読み方」、というのは、ガーバーの批判…

『叙説』と『モナドロジー』の関係についてのフィシャンの解釈

Michel Fichant, "Introduction: l'invention métaphysique" in G.W. Leibniz, Discours de métaphysique, Monadologie, Édition Gallimard, 2004. 『モナドロジー』300年のシンポジウムに向け、何とか間に合うように準備しているのだけど、まだ原稿は終わら…

日本ライプニッツ協会第6回大会〜発表募集のお知らせ〜

今年度の日本ライプニッツ協会の大会は、富山大学で開催することになりました。 すでに会員の方には書面で連絡がなされましたが、まだネットではお知らせが出ていないみたいですので、開催校の担当者として、勝手ながら、こちらで代わりにアナウンスをさせて…

サイバネティックスの守護聖人としてのライプニッツ〜ウィーナーと『モナドロジー』〜

ライプニッツの『モナドロジー』には、モナドに組み込まれた自然のプログラムを予感させる言明が出てくる。また、良く知られるように、「自然のオートマトン」など直接的な表現もあるので、オートマトンの理論や情報科学(の歴史)において、ライプニッツの…

ライプニッツ『モナドロジー』§23

1. 原文 Donc, puisque reveillé de l'étourdissment on S'APPERÇOIT de ses perceptions, il faut bien qu'on en ait eu immédiatement auparavant, quoiqu'on ne s'en soit point aperçu ; car une perception ne sauroit venir naturellement que d'une a…

ライプニッツ『モナドロジー』§22

1. 原文 Et comme tout present état d'une substance simple est naturellement une suite de son état precedent, tellement que le present y est gros de l'avenir. 単純実体が持つ現在の状態はすべて、その先行する状態からの自然的な帰結であり、そこ…

ライプニッツ『モナドロジー』§21

1. 原文 Et il ne s'ensuit point qu'alors la substance simple soit sans aucune perception. Cela ne se peut pas même par les raisons susdites ; car elle ne sçauroit périr, elle ne sauroit aussi subsister sans quelque affection qui n'est autr…

ライプニッツ『モナドロジー』§20

1. 原文 Car nous expérimentons en nous mêmes un Etat ou nous nous (sic) souvenons de rien et n'avons aucune perception distinguée ; comme lorsque nous tombons en défaillance, ou quand nous somme accablés d'un profond sommeil sans aucun son…

ライプニッツ『モナドロジー』§19

1. 原文 Si nous voulons appeler Ame tout ce qui a PERCEPTIONS et APPETITS dans le sens general que je viens d’expliquer, toutes les substances simples ou Monades créées poudroient estre appelées Ames ; mais comme le sentiment est quelque c…

ライプニッツ『モナドロジー』§18

1. 原文 On pourroit donner le nom d’Entelechies à toutes les substances simples, ou Monades créées, car elles ont en elles une certaine perfection (ἔχουσι τὸ ἐντελές), il y a une suffisance (ἀυτάρχεια) qui les rend sources de leurs actions…

ライプニッツ『モナドロジー』§17

1. 原文 On est obligé d'ailleurs de confesser que la PERCEPTION et ce qui en depend est INEXPLICABLE PAR DES RAISON MECANIQUES, c'est à dire, par les figures et par les mouvemens. Et feignant qu'il y ait une Machine, dont la structure fass…

ライプニッツ『モナドロジー』§16

1. 原文 Nous expérimentons nous mêmes une multitude dans la substance simple, lorsque nous trouvons que la moindre pensée dont nous nous apercevons, enveloppe une variété dans l’objet. Ainsi tous ceux qui reconnoissent que l’Ame est une su…

ライプニッツ『モナドロジー』§15

1. 原文 [Et] L'action du principe interne qui fait le changement ou le passage d'une perception à une autre, peut être appellé APPETITION : il est vrai que l'appétit ne sçaurait toûjours parvenir entièrement à toute la perception, où il te…

ライプニッツ『モナドロジー』§14

1. 原文 L'état passager qui enveloppe et représente une multitude dans l'unité, ou dans la substance simple, n'est autre chose que ce qu'on appelle la PERCEPTION, qu'on doit distinguer de l'apperception ou de la conscience, comme il paraît…

ライプニッツ『モナドロジー』§13

1. 原文 Ce detail doit envelopper une multitude dans l'unité; ou dans le simple. Car tout changement naturel se faisant par degrés, quelque chose change et quelque chose reste ; et par consequent il faut que dans la substance simple il y a…

ライプニッツ『モナドロジー』§12

1. 原文 しかし変化の原理以外に、いわば単純実体の種別化と多様を与えているところの、変化するものについての細部もまたなければならない。 Mais il faut aussi qu'outre le principe du changement, il y ait un DETAIL DE CE QUI CHANGE, qui fasse pour…

ライプニッツ『モナドロジー』§11

1. 原文 われわれが述べてきたことから、次のことが帰結する。すなわち、モナドの自然的変化は、〔われわれが能動的力と呼ぶ〕内的原理に由来する。というのも、外的原因は、その内部のうちに影響することができないからである。〔また、一般的に、力は変化…

Machina arithmetica―精神を節約し、幼児でもできる計算機―

森田真生さんからのとある質問がきっかけで、Machina arithmetica(1685)すなわち「算術計算機」の英訳を読んでみた*1。原題はもう少し(というかだいぶ)長い:Machina arithmetica in qua non additio tantum et subtractio sed et multiplicatio nullo, di…

ピエール・ベイル書簡集オンライン

以下から、ピエール・ベイルの書簡が、オンラインで読めます。Correspondence de Pierre Bayle サイトは少し重たい感じですが、すばらしく良くできています。書簡ごとの対応や用語、人物などもリンクが付けられており、容易に参照ができる仕組みです。これぞ…

恵贈Day

朝5:30ごろ起床。今日は朝から体調が悪く、顔色も冴えない感じなので、朝は体調管理に努める(おふとんでゴロゴロ)。お昼には持ち直し、予約していたイタリアン・レストランでパスタを満喫。かなりライフ・ゲージが回復し疲れもとれた気がする。レストラン…

チェロケース到着。

最近は、できた余暇をだいたいチェロに費やす日々。3週間ほど前に、celloshopというところに頼んでいたチェロケース(BAM Hightech 2.9 White)がやっと到着。 第一印象は、軽い。とても軽い。2.9kgを謳うだけのことはある。 リュックのように背負えて、持ち…

ライプニッツの権威主義批判

忙しい合間を見つけて、翻訳仕事をちまちまと進める。ライプニッツが権威主義だとしてデカルト主義者を批判している面白いパッセージがあった。 学派の精神は必当然的に進展に反するのです。前に進むためには、新しい観点からものごとを捉えねばなりません。…

Domenico Gabrielli(ドメニコ・ガブリエッリ)

J.S.バッハ以前に、チェロ無伴奏曲を作った有名なチェロ奏者・作曲家に、ドメニコ・ガブリエッリ( 1651年4月15日 - 1690年7月10日)というのがいるらしい。イタリア、ボローニャ出身。チェロ作品やオペラ、トランペットソナタなどを残したが、39歳の若さで…

西洋思想史おしまい

今日は、西洋思想史の最後の授業だった。情報革命後における個体(個人)と生命について、フロリディ『情報』を題材に講義した。残り時間は、レポート評とアンケート。哲学は難しいという方も多かったが、楽しんでもらえた方もいて、何より。前期の西洋思想…