labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

ライプニッツの権威主義批判

忙しい合間を見つけて、翻訳仕事をちまちまと進める。

ライプニッツ権威主義だとしてデカルト主義者を批判している面白いパッセージがあった。

学派の精神は必当然的に進展に反するのです。前に進むためには、新しい観点からものごとを捉えねばなりません。権威が理性よりもはるかに多くを受け取られているような仕方で、拝借された思想があまりに精神を支配しているとき、それは容易ではありません。

過去の思想を吸収し、現代の科学(当時)と対決した、ライプニッツだからこそ、こうした批判にも説得力がある。哲学史に踏み込まず安易なアナクロニズムを持ち込むことも愚かであるし、哲学史にとどまって権威主義に陥ることも愚かである。専門分化した現代においては、このような人物が出てくることはおそらくもうないだろう。しかし、そのほんの少しの気概でもいいから、持ちたいものである。哲学をやるというのは大変だ(遠い目)。