2015-01-01から1年間の記事一覧
ジャンニ・パガニーニ「モンテーニュと近代懐疑主義」山上浩嗣 訳『思想』2015年第10号, pp. 7-24. 本論において、パガニーニはモンテーニュの懐疑主義が近代にもたらした遺産を、以下の5つの節に分けて分析している。それぞれの要点を述べると、以下のよう…
2015年度・後学期の哲学講読の授業ではパスカル『パンセ』をやっており、モンテーニュ『エセー』を紐解きつつ、当時の「懐疑主義」について調べるため、J. アナス・J. バーンズ『古代懐疑主義入門』第一章・第二章を読んだ。非常にためになり、おもしろかっ…
東慎一郎「伝統的コスモスの持続と多様性――イエズス会における自然哲学と数学観」『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』第1集,月曜社,2010, 203-233. 上記の東さんの論文を再読しましたので、自分の考えをまじえつつ、簡単にまとめてみました。初期近代…
下記の要領で、セミナーを開催します。 数理哲学史夏期合宿セミナー日程:8月26日-28日 場所:草津セミナーハウス D研修室 主催:数理哲学史研究会 8月27日 8:00-18:00 :研究発表会(阿部皓介、五十嵐涼介、池田真治、稲岡大志、久木田水生、鈴木佑京、中村…
昨日、教員免許状更新講習の講義を担当しました。土・日とも研究室にこもって、これまで行ってきた授業資料をベースに、三回の講義原稿とスライドを作成しました。講義を依頼されたときにあわてて概要を書いてしまい、範囲を広げすぎていたので、かなり困り…
Sayaka OKI(2013), "The Establishment of 'Mixed Mathematics' and Its Decline 1600-1800", HISTORIA SCIENTIARUM, Vo. 23-2, 82-91 上記にある隠岐先生の論文をまとめてみました。「混合数学」という用語の確立とその衰退について、非常に明快にサーベイ…
ゴクレニウスの『哲学辞典』の後に出されたアルシュテッド(Johann Heinlich Alsted)の『要約哲学辞典』(Compendium Lexici Philosophici, 1626)では、数学(Mathematica)は、聖霊学(Pneumatica)、自然学(Physica)とならんで、事象の近接的原因を探求し学知を…
表題について、手始めに、ゴクレニウスの『哲学辞典』Lexicon Philosophicum(1613)における「数学の術・数学」"Mathematicae Artes. Mathemata"の項を参照してみる。どう効いているのかはまだ不明だが、数学をして、"scientia"ではなく"ars"「術」としてい…
ご無沙汰してます。ちょいと前に、高校で哲学の出前授業をしてきました。とある委員になってから、現在は、こういう営業的なお仕事が増えてきまして。哲学は日本の高校では学べない分野なので、授業では、前提知識はいらない、なるべく身近なテーマを選びま…
数理哲学史という分野を開拓したいのですが、まだ業績が少なく、アピールするには時間がかかりそうです。誰かエライ人が、引っ張ってくれるといいのですけどね。とりあえず、この分野のいいところを適当に挙げてみましょう。 1) 研究蓄積がそんなにない 2) …
「数理哲学史研究会」を起こしたものの、活動が数年滞ってしまっています。主に私の力不足が原因で、まことに申し訳ない次第です。各メンバーも同様に忙しく、それぞれの負担が厳しいということもありました。しかし、この分野の火をもう一度おこしたい。そ…
「アカデミック・ライティング」講習なるものを先月受けた。「アカデミック・ライティング」というのは、単に学術的な論文のことではない。それはあくまでも、「欧米の」学術的なスタイルに基づく論文の書き方のことだ。そこでは、「日本的な」物書きのあり…
第二回が終了。今日見たのは、魂の伝統的概念から、デカルト革命まで。まだ未完成な部分があるが、授業スライドは、履修者が復習に見られるように、そのうちアップしようと思う。スライドや配布資料には書かれていない、哲学的に関連する話題を、授業でアド…
火曜・二限の「哲学のすすめ」、初回の授業を終える。90人入る教室が超満員。昨年は教室の半分にも満たなかったと思うが、いったい、どうしたことだろう。世間の「哲学人気じわり」というのは、どうも本当かもしれない。50部刷ってきた資料が足りず。事務に…
人間科学講座の教員によるリレー講義初回。月曜一限のためか、例年より人数が少ない。いつも初回はガイダンス。その後、各教員が、自己紹介と自分の担当する授業について手短に紹介する。自分の番。いきなり声が詰まって出ないなど(汗)。カンタンに自己紹…
初回はイントロダクション。 前学期行う「西洋思想史」の授業について、シラバスを元に解説するのが通例であるが、初回から大きく脱線した。まず、「西洋思想史」とはそもそも何なのか。英語では、"History of Ideas"であるが、今年度のテーマは、「心と世界…
今年度の前学期に担当する授業は、以下の通り。【教養科目】 哲学のすすめ(火曜日・二限) 【専門科目】 人間科学入門(月曜日・一限)※リレー講義 哲学演習(火曜日・五限) 西洋思想史(金曜日・三限) 【総合科目】 心・身体・命(月曜日・三限)※リレー…
初期ライプニッツ研究が大分進んでいるが、重要な二次文献に限れば、読むべき文献はまだそれほど多くないので、十分キャッチアップできる範囲内にあるのではないかと思われる。 Arthur Hannequin, “La première philosophie de Leibnitz”, in Etudes d'histo…
引き続き、ライプニッツにおけるホッブズのコナトゥス概念の受容を、もう少し詰めたいので、ホッブズ宛書簡を読むことにした。レムカーの英訳とアカデミー版原典(A II-1, 90-94)を参照する。ただし、レムカーが用いたゲルハルト版には、アカデミー版と比べて…
伊豆蔵好美「ホッブズと若き日のライプニッツ――十七世紀に「大陸合理論」の哲学は存在したのか?」『山本信の哲学 形而上学の可能性を求めて』所収、224-234頁。形而上学の可能性を求めて----山本信の哲学作者: 山本信ほか,佐藤徹郎雨宮民雄佐々木能章黒崎政…
ヘルベルト・ブレガー「ライプニッツ哲学における全体と部分」(稲岡大志訳)松田毅 編『部分と全体の哲学:歴史と現在』春秋社、2014年。部分と全体の哲学: 歴史と現在作者: 松田毅出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2014/11/22メディア: 単行本この商品を含…
松田毅先生の「ヴァン・インワーゲンの「生命」――ライプニッツとの対比から」を拝読。松田毅編『部分と全体の哲学:歴史と現在』春秋社、2014年所収。部分と全体の哲学: 歴史と現在作者: 松田毅出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2014/11/22メディア: 単行本こ…
前半部では「コナトゥス」と「無限小」のつながりが指摘された。後半部は、「コナトゥス」から「予定調和」と「モナド」へのつながりが、問題にされる。1670-71年の「抽象運動論」で、「コナトゥス」は、「調和」harmoniaと結びつけられている。コナトゥスは…
不勉強で、だいぶ期間があいてしまったが、引き続き、村上勝三『知の存在と創造性』を読み進めていきたい。長くなりそうなので、第二章「コナトゥスからモナドへ」から、まず前半部である第1・2節について、簡単な内容紹介と、読んだ感想を述べていきたい。…