labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

数学

クーチュラ『論理の代数学』

ルイ・クーチュラ『論理の代数学』(1905; 第2版:1914)から、 冒頭と結論部のみをざっくりと抄訳してみました。リプリント版がOlmsや、次の出版社から出ています。 Louis Couturat, L'Algebre de la Logique, 2e édition, Réimpression : Albert Blanchar…

哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合WS

昨日(5月20日)、日本哲学会第77回神戸大会にて、ワークショップ「哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合」に登壇し、発表・議論をしてまいりました。これは、昨年度の日哲シンポ「哲学史研究の哲学的意義」の続編として、個別事例ということで、ラ…

ルベーグの「数学者は、数学者であるかぎり、哲学に没頭すべきではない」という主張について

ひそかに測度論の勉強を進めようと思いつつ、なかなか数学に集中する時間も体力もないので、研究室のソファーに寝転がり、ルベーグの書をふと手に取った。そこに、非常に面白い発言があったのでメモをとる。 ルベーグ『量の測度』みすず書房、1976年。 原著…

永井博『数理の存在論的基礎』の序を読む

永井博『数理の存在論的基礎』創文社、1960年。 永井は本書の序で、今日の哲学の現状を率直に分析し、哲学の課題を投げかけている。すでに半世紀以上前の本であるが、現代の哲学の状況や問題意識にも通ずるところがあるように思われたので、内容を紹介してみ…

クラヴィウスに関する包括的な数学史研究

曽我昇平氏の博士論文、「クリストファー・クラヴィウス研究―イエズス会の『学事規定』と教科書の史的分析―」が、国立国会図書館デジタルアーカイブから閲覧・ダウンロードできることに、先ほど気がつきました。まだ要旨を読んだのみですが、これまで欠けて…

連続体の迷宮とは何か(講義原稿)

「連続体の迷宮とは何か――ライプニッツとパースが挑んだ最大の哲学的難問――」私の研究テーマである「連続体の迷宮」について、人文の学生にもわかる範囲で説明するべく、講義原稿として書いたものです(上のリンク先から、pdfがダウンロードできます)。 う…

デカルト 数学・自然学論集〔後日譚〕

【前の記事→告知】『デカルト 数学・自然学論集』は、デカルトの遺稿集やメモ、ノートだけでなく、他人が書いた日記や入門書の集成である。我々が今回訳したものは、あまり一般の関心を買わないであろう、デカルトの数学・自然学に関するマイナーワークと見…

デカルト数学・自然学論集〔告知〕

もうすぐ出版されるということで、告知をさせていただきます。デカルト 数学・自然学論集作者: ルネデカルト,山田弘明,中澤聡,池田真治,武田裕紀,三浦伸夫出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2018/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る目次…

「コンパスの意義と代数的思考様式の展開−−初期デカルトの数学論を中心に−−」誤植と訂正

『理想』2017, No.699「特集 デカルト」所収の拙論文に、以下の誤りがありました。訂正してお詫びいたします(切腹最中)。 理想 第699号(2017) 特集:デカルト出版社/メーカー: 理想社発売日: 2017/09/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 池田真…

数理哲学史夏期合宿セミナー2017(詳細版)

数理哲学史夏期合宿セミナー2017 日程:9月22日-24日 場所:草津セミナーハウス C研修室 主催:数理哲学史研究会 主催者:池田真治(shinji[+at+]hmt.u-toyama.ac.jp) 助成:科研費JP16K02113 参加予定者藤田博司(愛媛大学)、三宅岳史(香川大学)、久木…

数理哲学史夏期合宿セミナー2017

今年も夏がやってきました。 一昨年・昨年に引き続き、下記の日程で第三回目の数理哲学史夏期合宿セミナーを実施いたします。 参加者は各自、数学あるいは数学の哲学や歴史に関して何らかの研究発表をします。 今年はゲスト講師による講演も予定しています。…

最近の作物

ブログではご無沙汰しています。およそ一年も空けてしまいました。この一年にはいろいろなことがありました。 最近、ようやく研究の調子も上がってきそうな気配がしていますので、 またブログの方も充実させていきたいと思います。とりあえず、最近書いたも…

数理哲学史夏期合宿セミナー2016開催報告

9月2日〜4日、草津セミナーハウスにて、数理哲学史夏期合宿セミナーを開催しました。参加者各位によって、最新の研究活動に関する意欲的な発表が行われました。 活動内容と発表タイトルは以下の通りです。【初日】研究会 カッツ『数学の歴史』第2章輪読(担…

数理哲学史夏期合宿セミナー2016

今年も夏がやってきました。 昨年に引き続き、下記の日程で第二回目の数理哲学史夏期合宿セミナーを実施いたします。 参加者は各自、数学の哲学や歴史に関して何らかの研究発表をします。昨年は草津温泉で打ち上げをしました。 数理哲学史夏期合宿セミナー20…

17世紀哲学・数理哲学史 関係のホームページ

午前は報告書を書いたり、書類を出したり送ったり。午後は授業準備を少し進める。哲学演習は野矢茂樹『論理学』をはじめて使用してみようかと思う。前原昭二『記号論理入門』を使いたかったが、数学アレルギーのある人文系の学生に考慮しなければならない気…

ユークリッド『原論』の成立:数学の哲学からの自立についての考察。

今日はやたらと風が強く、一日雨模様なので、おうちで静かに作業。目の調子が悪く、疲労もあってほとんどはかどらなかった。息抜きに、読みたかった本を読んでいく。 ユークリッド『原論』とは何か―二千年読みつがれた数学の古典 (岩波科学ライブラリー)作者…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(4)

東慎一郎「伝統的コスモスの持続と多様性――イエズス会における自然哲学と数学観」『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』第1集,月曜社,2010, 203-233. 上記の東さんの論文を再読しましたので、自分の考えをまじえつつ、簡単にまとめてみました。初期近代…

数理哲学史夏期合宿セミナー

下記の要領で、セミナーを開催します。 数理哲学史夏期合宿セミナー日程:8月26日-28日 場所:草津セミナーハウス D研修室 主催:数理哲学史研究会 8月27日 8:00-18:00 :研究発表会(阿部皓介、五十嵐涼介、池田真治、稲岡大志、久木田水生、鈴木佑京、中村…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(3)

Sayaka OKI(2013), "The Establishment of 'Mixed Mathematics' and Its Decline 1600-1800", HISTORIA SCIENTIARUM, Vo. 23-2, 82-91 上記にある隠岐先生の論文をまとめてみました。「混合数学」という用語の確立とその衰退について、非常に明快にサーベイ…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(2)

ゴクレニウスの『哲学辞典』の後に出されたアルシュテッド(Johann Heinlich Alsted)の『要約哲学辞典』(Compendium Lexici Philosophici, 1626)では、数学(Mathematica)は、聖霊学(Pneumatica)、自然学(Physica)とならんで、事象の近接的原因を探求し学知を…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(1)

表題について、手始めに、ゴクレニウスの『哲学辞典』Lexicon Philosophicum(1613)における「数学の術・数学」"Mathematicae Artes. Mathemata"の項を参照してみる。どう効いているのかはまだ不明だが、数学をして、"scientia"ではなく"ars"「術」としてい…

数理哲学史のいいところ

数理哲学史という分野を開拓したいのですが、まだ業績が少なく、アピールするには時間がかかりそうです。誰かエライ人が、引っ張ってくれるといいのですけどね。とりあえず、この分野のいいところを適当に挙げてみましょう。 1) 研究蓄積がそんなにない 2) …

数理哲学史夏期合宿セミナー(仮)

「数理哲学史研究会」を起こしたものの、活動が数年滞ってしまっています。主に私の力不足が原因で、まことに申し訳ない次第です。各メンバーも同様に忙しく、それぞれの負担が厳しいということもありました。しかし、この分野の火をもう一度おこしたい。そ…

筑波大学附属図書館貴重書コレクション

国内でも、西洋の数学や哲学の貴重書が電子化されているものがありますが、筑波大学はなかなか充実していると思われたので紹介。筑波大学附属図書館から、次のところに入ります。貴重書コレクション(電子化リスト)下の方までスクロールすると、分野別に貴重…

Machina arithmetica―精神を節約し、幼児でもできる計算機―

森田真生さんからのとある質問がきっかけで、Machina arithmetica(1685)すなわち「算術計算機」の英訳を読んでみた*1。原題はもう少し(というかだいぶ)長い:Machina arithmetica in qua non additio tantum et subtractio sed et multiplicatio nullo, di…

実数体の構成を扱ったテキスト

教科書 齋藤正彦『数学の基礎 集合・数・位相』東京大学出版会。Rudin『現代解析学』共立出版。松坂和夫『代数系入門』岩波書店。赤摂也『実数論講義』SEG出版。※たぶん、下から上に難易度・取り扱いの洗練度があがる。 ※杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版…

数学の自然。

その『数理科学』12月号に掲載されている藤田博司さんの「実数の連続体仮説」(「連続体仮説ちゃんまじ仮説」)の記事を読みました。2頁と短いのですが、見通しの利いた充実している記事です。連続体仮説は独立命題で、実数論を展開できる、通常の数学の枠外…

HPM 第1回例会。

本日は、「数理哲学史研究会」の第一回例会でした。 担当は不肖このわたくしで、カッツ『数学の歴史』をもとにルネサンスの代数学について発表しました。歴史に関しては細かいところはやりだしたらきりがないのですが、レジュメでは、ポイントをしぼり、数学…

数理哲学史研究会。

「数理哲学史研究会」のホームページ(建設中)を立ちあげました。https://sites.google.com/site/histphilomath/数学史や数学の哲学の古典や研究書の読書会、定期的な研究発表の場にしたいと考えています。魅力的な企画を募集してます。また、現在、参加メ…

タイプ理論。

京都大学の先輩の久木田水生さんと後輩の伊藤遼くんとで、「タイプ理論の起源と発展」について、哲学の観点から、わかりやすいサーベイを書きました。予備知識なしで読めるようにしたかったのですが、さすがに、述語論理の記法の読み方くらいは、前提させて…