labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

17世紀スコラにおける「抽象」の概念

あけましておめでとうございます。 昨年、研究会で報告した原稿に、少し手を入れたものです。 池田 真治 (Shinji Ikeda) - 資料公開 - researchmap 昨年行われた哲学オンラインセミナーでの日本哲学会ワークショップ「抽象と概念形成の哲学史」では、私自身…

アヴィセンナの内的感覚論と抽象化の理論についてのメモ

西欧近世哲学における抽象の理論の系譜を遡っていく過程で、どうしてもアラビア哲学におけるアリストテレスの受容と変容の問題は避けられない。むろん、抽象の理論の起源をたどれば、最終的には古代ギリシア哲学、アリストテレスの「アパイレーシス」に行き…

抽象と概念形成の問題(授業動画)

恥をしのびつつ、授業動画の一つを限定公開してみました。 前学期の「西洋思想史」の第2回目の講義です。西洋における古代から近世までの抽象と概念形成の問題をめぐる哲学思想を概観しています。 youtu.be 明日行われる哲学オンラインセミナーでの、「抽象…

ワークショップ「抽象と概念形成の哲学史 ―古代から現代へ―」第1回のご案内

哲学オンラインセミナーのご協力により、以下のワークショップを行うことになりました。 月1回ペースで行う予定です。 お時間とご関心のあるみなさまは、どうぞふるってご参加ください。 日時:2020年6月21日(日) 15:00 -17:00 企画:ワークショップ「抽象…

A. ヴァルツィ「境界」(Stanford Encyclopedia of Philosophy)[翻訳]

SEPにある、ヴァルツィの「境界」を翻訳してみました(抜粋や参考文献、リンク等の部分は除く)。 授業資料用に翻訳したものです。また、境界の問題は、連続体の哲学をめぐる、自分の研究関心の比較的中心にあるので、自分用に翻訳を思い立ったところもあり…

アカデミーと学術雑誌の形成と文芸共和国の誕生──『世界哲学史5』「ポスト・デカルトの科学論と方法論」への補論[2]

この原稿は、「ポスト・デカルトの科学論と方法論」『世界哲学史5』(ちくま新書、2020年)の準備として書いたものです。巻末の年表に少し反映しました。これも、あくまで整理のために書いたものなので、ざっくりとしてますが、ご容赦ください。 世界哲学史…

デカルトの方法──『世界哲学史5』「ポスト・デカルトの科学論と方法論」への補論[1]

この原稿は、「ポスト・デカルトの科学論と方法論」『世界哲学史5』(ちくま新書、2020年)の準備として書いたものです。あくまで整理のために書いたものなので、ざっくりとしてますが、ご容赦ください。 世界哲学史5 (ちくま新書) 発売日: 2020/05/08 メデ…

『世界哲学史5』発売記念。【付・第7章「ポスト・デカルトの科学論と方法論」誤植と訂正】

ちくま新書から好評発売中の『世界哲学史』のシリーズ、ついに『世界哲学史5』が本日(5月7日)付で発売になりました!(Amazonでは明日8日発売の模様) 世界哲学史5 (ちくま新書) 発売日: 2020/05/08 メディア: 新書 わたしも第7章「ポスト・デカルトの…

パースの連続体論(2. 『センチュリー辞典』より)

「連続性(Continuity)」の項目 (『センチュリー辞典』、1884年頃起草、1889年出版) 出典:Charles S. Peirce, Philosophy of Mathematics: Selected Writings, M. E. Moore (ed.), Indiana University Press, 2010, pp. 135-139. 【解説】 編者のM. E. M…

パースの連続体論(1. SEPより)

12月半ばに体調を崩し、ほぼ回復した年末年始には、子守と家族イベント、そしてその疲労と息抜きでほとんど何もできず、いつのまにか新年を迎えてしまいました。明けましておめでとうございます。ブログはおろか、仕事がいろいろ滞っており、焦ってばかりい…

アリストテレスと不可分者

授業でアリストテレスの連続論を扱ったが(講義資料リンク)、時間の制約上『生成消滅論』には触れられなかった。また、アリストテレスが「不可分者」について語っているところをこれまできちんと押さえていなかったのを反省し、理解を補うべくメモしたい。 …

ライプニッツ「点から線の構成と実体から物質の構成の差異」

ライプニッツの遺稿から、点と線に関する幾何学的構造と、不可分な要素である実体とそれから合成される物質の構造の違いについてライプニッツがメモした部分を翻訳してみました。 「点から線の構成と実体から物質の構成の差異」 原題:DIFFERENTIA INTER CON…

ライプニッツ「フーシェ氏の反論に関する覚書」(部分訳)

ライプニッツのテキストから以下を抄訳してみました。 題目:「フーシェ氏の反論に関する覚書」 原題:REMARQUES SUR LES OBJECTIONS DE M. FOUCHER 日付:1695年9月12日より後に起草 典拠:A VI, 5, VE: 2290 ライプニッツの心身の結合に関する予定調和の「…

連続体の合成の問題をめぐるライプニッツ手稿

Massimo Mugnai, Two Leibniz Texts with Translations: LH IV 1, 9 r and LH IV 1, Bl. 24 r in The Leibniz Review, Vol. 10, 2000, 135-137. より、断片の粗訳をしてみました。 LH IV 1, 9 r Monades non sunt in loco nisi per harmoniam, id est per co…

幾何学的対象はタイプなのか

飯田隆「タイプとイデア──幾何学的対象の存在論──」 URL =< http://greek-philosophy.org/ja/files/2018/03/Iida_2018.pdf> を数日前に読んで、刺激を受けたのでその感想など。 本稿の基本的な考えは、幾何学的対象はタイプとして存在する、描かれた図形はそ…

LaTeXで古代ギリシア語のアクセントとか

「分析形而上学」入門

『現代思想43のキーワード』から、鈴木生郎さんの「分析形而上学」の項を読んだ。分析形而上学の方法論に論点をしぼった良記事でした。 現代思想 2019年5月臨時増刊号 総特集◎現代思想43のキーワード (現代思想5月臨時増刊号) 作者: 千葉雅也,松本卓也,渡辺…

クーチュラと『ライプニッツの論理』

GWに入って、ようやく溜まっていた仕事に集中する時間が少しとれそうです。手始めに、とある事典で担当した項目のうち、クーチュラと『ライプニッツの論理』についてドラフトを書きました。 制限字数内にまとめるのが大変で、資料の消化と執筆にずいぶんと時…

ダヴィド・ラブアン氏 特別講演・特別講義のお知らせ

フランスからダヴィド・ラブアン氏(David Rabouin, CNRS / Paris-Diderot)をお招きして、いくつかの講演と講義をしていただく予定です。ラブアン氏は、数学の哲学、とりわけ普遍数学思想が御専門です(ラブアン氏に関しては、詳しくはこちら )。おおよそ…

クーチュラ『論理の代数学』

ルイ・クーチュラ『論理の代数学』(1905; 第2版:1914)から、 冒頭と結論部のみをざっくりと抄訳してみました。リプリント版がOlmsや、次の出版社から出ています。 Louis Couturat, L'Algebre de la Logique, 2e édition, Réimpression : Albert Blanchar…

研究メモ:ヨハン・ベルヌーイ自伝

ライプニッツの原子論論文の校正が終わって、 今は無限小論文の校正中。 ヨハン・ベルヌーイがライプニッツの微積分に出会ったときの印象について、 「解説というよりも謎かけだった」と述べているようなのですが、 その正確な典拠を調べていたら、次の資料…

再開

夏は査読や組合、育児などサービス業で忙しかったです。 辞典項目執筆や翻訳などの依頼仕事も溜まっており、あまり身動きがとれない状態。 それはそれで人のためにがんばっていてよろしいのかもしれないが、 あまり自分の研究の時間がとれないのでは、研究者…

哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合WS

昨日(5月20日)、日本哲学会第77回神戸大会にて、ワークショップ「哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合」に登壇し、発表・議論をしてまいりました。これは、昨年度の日哲シンポ「哲学史研究の哲学的意義」の続編として、個別事例ということで、ラ…

ルベーグの「数学者は、数学者であるかぎり、哲学に没頭すべきではない」という主張について

ひそかに測度論の勉強を進めようと思いつつ、なかなか数学に集中する時間も体力もないので、研究室のソファーに寝転がり、ルベーグの書をふと手に取った。そこに、非常に面白い発言があったのでメモをとる。 ルベーグ『量の測度』みすず書房、1976年。 原著…

永井博『数理の存在論的基礎』の序を読む

永井博『数理の存在論的基礎』創文社、1960年。 永井は本書の序で、今日の哲学の現状を率直に分析し、哲学の課題を投げかけている。すでに半世紀以上前の本であるが、現代の哲学の状況や問題意識にも通ずるところがあるように思われたので、内容を紹介してみ…

クラヴィウスに関する包括的な数学史研究

曽我昇平氏の博士論文、「クリストファー・クラヴィウス研究―イエズス会の『学事規定』と教科書の史的分析―」が、国立国会図書館デジタルアーカイブから閲覧・ダウンロードできることに、先ほど気がつきました。まだ要旨を読んだのみですが、これまで欠けて…

哲学史の方法。村上勝三氏の「理由の系列としての哲学史」メモ。

村上勝三氏(以下敬称略)が近著『知と存在の新体系』において、哲学史の方法について論じている箇所がある。第1章の「理由の系列としての哲学史」である。以下は、その内容についてのメモである。知と存在の新体系作者: 村上勝三出版社/メーカー: 知泉書館…

連続体の迷宮とは何か(講義原稿)

「連続体の迷宮とは何か――ライプニッツとパースが挑んだ最大の哲学的難問――」私の研究テーマである「連続体の迷宮」について、人文の学生にもわかる範囲で説明するべく、講義原稿として書いたものです(上のリンク先から、pdfがダウンロードできます)。 う…

デカルト 数学・自然学論集〔後日譚〕

【前の記事→告知】『デカルト 数学・自然学論集』は、デカルトの遺稿集やメモ、ノートだけでなく、他人が書いた日記や入門書の集成である。我々が今回訳したものは、あまり一般の関心を買わないであろう、デカルトの数学・自然学に関するマイナーワークと見…

デカルト数学・自然学論集〔告知〕

もうすぐ出版されるということで、告知をさせていただきます。デカルト 数学・自然学論集作者: ルネデカルト,山田弘明,中澤聡,池田真治,武田裕紀,三浦伸夫出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2018/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る目次…