labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合WS

昨日(5月20日)、日本哲学会第77回神戸大会にて、ワークショップ「哲学史研究の哲学:ライプニッツ研究の場合」に登壇し、発表・議論をしてまいりました。これは、昨年度の日哲シンポ「哲学史研究の哲学的意義」の続編として、個別事例ということで、ラ…

ルベーグの「数学者は、数学者であるかぎり、哲学に没頭すべきではない」という主張について

ひそかに測度論の勉強を進めようと思いつつ、なかなか数学に集中する時間も体力もないので、研究室のソファーに寝転がり、ルベーグの書をふと手に取った。そこに、非常に面白い発言があったのでメモをとる。 ルベーグ『量の測度』みすず書房、1976年。 原著…

永井博『数理の存在論的基礎』の序を読む

永井博『数理の存在論的基礎』創文社、1960年。 永井は本書の序で、今日の哲学の現状を率直に分析し、哲学の課題を投げかけている。すでに半世紀以上前の本であるが、現代の哲学の状況や問題意識にも通ずるところがあるように思われたので、内容を紹介してみ…

クラヴィウスに関する包括的な数学史研究

曽我昇平氏の博士論文、「クリストファー・クラヴィウス研究―イエズス会の『学事規定』と教科書の史的分析―」が、国立国会図書館デジタルアーカイブから閲覧・ダウンロードできることに、先ほど気がつきました。まだ要旨を読んだのみですが、これまで欠けて…

哲学史の方法。村上勝三氏の「理由の系列としての哲学史」メモ。

村上勝三氏(以下敬称略)が近著『知と存在の新体系』において、哲学史の方法について論じている箇所がある。第1章の「理由の系列としての哲学史」である。以下は、その内容についてのメモである。知と存在の新体系作者: 村上勝三出版社/メーカー: 知泉書館…

連続体の迷宮とは何か(講義原稿)

「連続体の迷宮とは何か――ライプニッツとパースが挑んだ最大の哲学的難問――」私の研究テーマである「連続体の迷宮」について、人文の学生にもわかる範囲で説明するべく、講義原稿として書いたものです(上のリンク先から、pdfがダウンロードできます)。 う…

デカルト 数学・自然学論集〔後日譚〕

【前の記事→告知】『デカルト 数学・自然学論集』は、デカルトの遺稿集やメモ、ノートだけでなく、他人が書いた日記や入門書の集成である。我々が今回訳したものは、あまり一般の関心を買わないであろう、デカルトの数学・自然学に関するマイナーワークと見…

デカルト数学・自然学論集〔告知〕

もうすぐ出版されるということで、告知をさせていただきます。デカルト 数学・自然学論集作者: ルネデカルト,山田弘明,中澤聡,池田真治,武田裕紀,三浦伸夫出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2018/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る目次…

「西洋思想史」講義(2017年度・後学期)

今年もバタバタしているうちに、12月になってしまいました。数年くらい試行錯誤をしていましたが、ようやく授業でも、人文系の学生にもわかってもらえそうなところで、自分の関心に近いところをやれるようになってきた気がします。 哲学演習の授業では、論理…

「コンパスの意義と代数的思考様式の展開−−初期デカルトの数学論を中心に−−」誤植と訂正

『理想』2017, No.699「特集 デカルト」所収の拙論文に、以下の誤りがありました。訂正してお詫びいたします(切腹最中)。 理想 第699号(2017) 特集:デカルト出版社/メーカー: 理想社発売日: 2017/09/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 池田真…

数理哲学史夏期合宿セミナー2017(詳細版)

数理哲学史夏期合宿セミナー2017 日程:9月22日-24日 場所:草津セミナーハウス C研修室 主催:数理哲学史研究会 主催者:池田真治(shinji[+at+]hmt.u-toyama.ac.jp) 助成:科研費JP16K02113 参加予定者藤田博司(愛媛大学)、三宅岳史(香川大学)、久木…

数理哲学史夏期合宿セミナー2017

今年も夏がやってきました。 一昨年・昨年に引き続き、下記の日程で第三回目の数理哲学史夏期合宿セミナーを実施いたします。 参加者は各自、数学あるいは数学の哲学や歴史に関して何らかの研究発表をします。 今年はゲスト講師による講演も予定しています。…

最近の作物

ブログではご無沙汰しています。およそ一年も空けてしまいました。この一年にはいろいろなことがありました。 最近、ようやく研究の調子も上がってきそうな気配がしていますので、 またブログの方も充実させていきたいと思います。とりあえず、最近書いたも…

数理哲学史夏期合宿セミナー2016開催報告

9月2日〜4日、草津セミナーハウスにて、数理哲学史夏期合宿セミナーを開催しました。参加者各位によって、最新の研究活動に関する意欲的な発表が行われました。 活動内容と発表タイトルは以下の通りです。【初日】研究会 カッツ『数学の歴史』第2章輪読(担…

数理哲学史夏期合宿セミナー2016

今年も夏がやってきました。 昨年に引き続き、下記の日程で第二回目の数理哲学史夏期合宿セミナーを実施いたします。 参加者は各自、数学の哲学や歴史に関して何らかの研究発表をします。昨年は草津温泉で打ち上げをしました。 数理哲学史夏期合宿セミナー20…

コンピュータは志向性を実現できるのか?

あんまり放置していてもあれなので、久しぶりにブログ。授業準備の過程で、ティム・クレイン『心は機械で作れるか』第一章を読んでみたので、そのゆるい感想でも。なお、この本は後期の哲学講読で扱う予定なので、その準備を兼ねた一石二鳥的な考えもないわ…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(6)――「哲学史の研究こそ哲学の研究である」とするヘーゲルの見解について――

ヘーゲルは「哲学史の研究こそ哲学の研究である」と述べたことで有名ですが、はたしてそのような主張はいかにして導かれたのでしょうか。今回は、このことを確認したいと思います。そこで、 ヘーゲル『哲学史序論――哲学と哲学史――』武市健人 訳、岩波文庫、1…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(5)――「哲学史は哲学か?」という問いそのものを問う――

哲学史研究者がつねに念頭におかなければならないのは、ウィトゲンシュタインの「哲学は学説ではなく活動である」(『論理哲学論考』4.112)に象徴されるタイプの批判である。ウィトゲンシュタインがどういう意味を込めてこの言明をなしたのかは詳しくはわか…

ボルツァーノの「論理学」の定義

ボルツァーノの「論理学」の定義が気になったので調べて見ました。ただのお勉強メモです。原書。 Bernhard Bolzano, Wissenschaftslehre, In 4 Bänden, (Leibzig 1929), hrsg. von Wolfgang Schultz, Band 1, Scientia Verlag Aalen 1970. これには現在、頼…

非存在対象の指示の問題――分析哲学と現象学の起源としての――

今日は雨模様だし、研究室で作業していても、最近は外でやっているテニスの音がうるさくてストレスが溜まるので、おうちで作業することにした。なぜ何も無いのではなく、校舎の目の前にテニスコートがあるのか。午前はデカルトに苦闘。午後は読みたい本でも…

The Leibniz Review、電子化されてた。

いつのまにか、北米ライプニッツ協会が出している雑誌、The Leibniz Reviewが電子化されていました。次のリンクから最新三巻を除く過去の記事がダウンロードできます。https://www.pdcnet.org/leibniz/freeよっ、ナイス電子化。それにしても、執筆陣は豪華だ…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(4) ――カッシーラーの哲学史の方法――

西洋思想史の授業準備のためにカッシーラー『認識問題』を第一巻から読みはじめる。その序文に、カッシーラーが哲学史の方法について少し書いているのでメモ。 「哲学史は、それが真に学問であるかぎりは、多彩に継起する事実を知るのを学ぶための収集品陳列…

卒論オリ。

新年度がついに本格的に始まった。一発目の仕事として、今日は卒業研究オリエンテーション。配布する資料を準備したり、論文の書き方本や、哲学の論文の書き方などを調べたりしてたら、あっというまに時間が過ぎていった。今年度も研究する時間をどう捻出す…

17世紀哲学・数理哲学史 関係のホームページ

午前は報告書を書いたり、書類を出したり送ったり。午後は授業準備を少し進める。哲学演習は野矢茂樹『論理学』をはじめて使用してみようかと思う。前原昭二『記号論理入門』を使いたかったが、数学アレルギーのある人文系の学生に考慮しなければならない気…

ユークリッド『原論』の成立:数学の哲学からの自立についての考察。

今日はやたらと風が強く、一日雨模様なので、おうちで静かに作業。目の調子が悪く、疲労もあってほとんどはかどらなかった。息抜きに、読みたかった本を読んでいく。 ユークリッド『原論』とは何か―二千年読みつがれた数学の古典 (岩波科学ライブラリー)作者…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(3)――ゲルーの哲学史の方法――

桜も散りつつあり、新しい季節の新鮮な気分からやや落ち着きを取り戻しつつある。そろそろ自己の体験に基づく主観的・独断的な哲学史の哲学に関する考察から離れて、より客観的な哲学史の哲学を徐々に展開していくべき頃合いであろう。といっても、哲学史の…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(2)――古楽とのアナロジーを通じて――

最近、また毎朝6時に起きて、NHK-FMの「古楽の楽しみ」を聴くのが、一日のはじまりの日課となった。昔、都内の予備校に通うべく朝早く起きるために、たまたま目覚まし代わりにラジオ番組「朝のバロック」を聴きはじめた。これが、バロック音楽に関心を持ち…

「哲学史の哲学」研究に向けてのメモ(1)――まず自らの哲学史研究を反省する――

哲学史の哲学、哲学史の方法論について、自分なりに考えてみたい。まだ十分に考えを練っているわけではなく、まだ模索段階であるし、断続的にならざるをえないであろうが、ご容赦願いたい。私もまだ哲学史研究者の駆け出しのペーペーにすぎない。しかし哲学…

次の研究課題。

今日から新年度。いろいろなことが終わり、いろいろなことが始まって行く日だ。形式的には。しかし、形式が実質を伴うときもある。友人や知人の朗報を、いくつか間接的に聞く。たいへん悦ばしい。反面、依然として人文科学・哲学への将来的に明るい展望は、…

"日本ライプニッツ協会・2016年 春季大会"のお知らせ

来る4月2日(土)に、日本ライプニッツ協会の春季大会が開催されます。 午後13時から大阪大学・大学会館・大講堂にて、前半は個人研究発表、 後半は「理性と公共善」に関するシンポジウムが執り行われる予定です。 詳細は、下記リンクを参照してください。日…