labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

卒論オリ。

新年度がついに本格的に始まった。一発目の仕事として、今日は卒業研究オリエンテーション。配布する資料を準備したり、論文の書き方本や、哲学の論文の書き方などを調べたりしてたら、あっというまに時間が過ぎていった。今年度も研究する時間をどう捻出するか、すでに危険信号が点った感がある。


実は、一般的な論文の書き方はともかく、哲学の論文の書き方については、これまであまりきちんと勉強したことがないことに今頃気づいた(汗)。といっても、いろいろ本や論文は読んでいるし、これまでの研究で自然と身に付いているはずである。と、こう思い込んでいるあたりが、一番マズイかもしれない。不文律で済ませている自分の方法論ほど、独善的でアテにならないものもまたなかろう。


もう少し自分に批判的である必要があるなあ、と思いパラパラ読んでいたのは、Wunenburgerらが共著で書いているMéthodologie philosophique(PUF, 2011)という本と、Lewis Vaughn, Writing Philosophy(Oxford U.P., 2006)という本。哲学系の卒業論文の書き方などについては海外のサイトでも有益なものがあるし、時間があればこうしたものを参照して、哲学の卒業論文マニュアルみたいなものを作ってみたいのだが、はっきり言ってそんな暇がないのが実情である。哲学の中でも分野ごとに方法論は異なるし、なかなか難しいということもある。ただ、ある程度共通了解みたいなところはあるはずなので、そこら辺を明らかにしてみたい。


オリエンテーションの後は卒論指導。卒論はうちの哲学分野の場合、基本的には個別指導なのだけれど、今年度は自分が担当することになった学生は4人となり、各自に割ける時間は例年より少なめになりそう。テーマはだいたい以下の通り。ヒュームの因果論、E. マッハの感覚の分析、ロックの性質論、シューメーカーの人格の同一性論。どれも研究での視野を広げる上で勉強になりそう。


論文の書き方関係の本は、今年度も、ウンベルト・エコの『論文作法』を一番にオススメした。自分が学部生のときに読んで、かなり刺激を受けた本。要求する研究のレベルはとても高いが、読んで本当にためになったと実感できたのは、今でもコレかな。


卒論指導後は明日の授業準備をしてほぼ一日が終わる。夜に少しでも遅れている原稿を進めておきたい。あっ、今日もチェロやる暇がない。