labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

第11回 国際ライプニッツ会議@ハノーファー参加報告

7月31日〜8月4日にかけて,第11回目を迎える国際ライプニッツ会議に参加した.コロナ禍で延期となり,7年ぶりの開催である.

7月29日土曜早朝出発.富山きときと空港から羽田へ.乗り継ぎ時間が短いのが心配だったが,羽田ではミュンヘン行きの飛行機に無事搭乗.しかしすでに20分遅れでの出発で,ミュンヘンハノーファーへ行く飛行機で懸念していた接続トラブル.ミュンヘンに一泊せざるをえず,現地入りが1日遅れて,日曜夜にハノーファー入りした.ミュンヘン空港のサービスセンターで,長蛇の列を4時間待ったが解決せず,翌朝再び2時間ほど並んで,その日の午後の飛行機に換えてもらったが,その飛行機もまた天候不良か急遽キャンセルになった.ラチがあかないので,電車で行くことにした.ここでもサービスセンターで列に並ぶ.ミュンヘンからハノーファーまで電車で6時間,長い道のりだったが,それなりに車窓を楽しむことができた.

夜7時ごろにハノーファー入り.とりあえず無事に到着して,ようやく安心できた.ハノーファーでは富山よりも気温が10度以上低く,日中は23度,夜は13度くらいで,ウィンドブレーカーを着てちょうどよいくらいであった.3度目なので,多少の土地勘はあり,ホテルまでは歩いて15分程度,モバイルWiFiが便利だが,Google Mapを頼らずともそれほど迷わずに着くことができた.わりと新しくできたホテルなので清潔で,場所も公園前なのでとても静か.国際会議が開催されるハノーファー大学の校舎へのアクセスも徒歩10分以内と良い.どこでもそうだがWiFiのつながりが悪い以外は不満はなかった.毎日,丁寧にタオルとシーツを替えて,掃除もしてくれていた.

月曜日午前に行われた開会式では,その期間に亡くなられたライプニッツ研究者が追悼された.面識のある研究者もいたので,だいぶしんみりとした開始であった.初日は招待公演があり,とりわけクノープロッホの発表は,今回も圧巻だった.前回,私が聞いた発表は,フランス語で発表されラテン語原文を即興で訳すものだったが,今回は英語で発表されラテン語原文を即興で訳していた.なお,氏はドイツ人である.日本ライプニッツ協会の前会長の酒井先生も堪能なドイツ語で「24命題」についての精緻なご発表をされた.流暢なドイツ語で質疑応答もされていた.かくありたいものである.

会議では,個人発表とは別に,各国のライプニッツ協会のセッションが行われ,日本も2つのセッションを執り行った.フランスが最も多く,5つものセッションを開催したようである.北米アメリカ協会からのものはなかったようで,関係がうまくいっていないのか,心配になるが,9月に大会が予定されているので,そのせいもあるのかもしれない.ただ,毎回,北米からの参加者が限られているように思われる.

また,これは例年通りであるが,個人発表もテーマでくくられてセッションが行われ,専門や関心を同じくする参加者が集まりやすいように配慮されていた.私は,日本のセッションや,自身の研究と関連する数学と哲学の関係のセッションや,新しく出版された動力学のライプニッツの著作にかんするセッションに参加した.印象に残ったのは,初日のアルノー・ペルティエの発表で,私の研究関心にもかかわってくる内容だった.実際に対面で当人の発表を聴くことで,きちんと著作や論文を読みたいと思うので,良い機会だった.

私は,最終日の金曜日に行われる,Kraft(力)のセッションでの研究発表となった.最終日ということもあり,直前まで発表の準備に追われて,他の方の研究発表を十分に消化できなかったが,私個人の発表は,質疑も多く出て,充実した発表を行うことができた(発表スライドはこちら).

写真は現日本ライプニッツ協会会長・稲岡氏撮影.

昼食時や会議の合間に,各国のライプニッツ研究者と情報交換をする機会にも恵まれた.とりわけ,Richard Arthurや,David Rabouin,Vincezo De Risi,Siegmund Probst,そしてTzuchien Thoらと久しぶりに再開し,研究や近況について語ることができたことは,今後の研究を進める上でも重要な出来事だったように思う.

日本ではまだ前学期の授業を残しており,会議の期間に予定されていた授業の補講をしなければならなかったため,日程に余裕がなく,会議最終日の翌日土曜日に予定されていたハルツ山見学ツアーには参加できなかったのが残念である.大きな学会がヴァカンスに入った後すぐに予定される場合が多いので,休暇期間もなるべく国際的な基準に合わせてほしいものである.

ちなみに,帰りの飛行機でもチケットが勝手にキャンセルされているなどトラブルがあったが,同じ便で座席をとることができた.ルフトハンザは大規模な合理化と効率化を行ったが,どうも人員をカットしすぎたようで,こうした問題が起きやすくなっているようである.乗り継ぎはなるべく避けて,大都市からは電車で行くようにしたい(それでもストや遅れなどトラブルは日本よりも多そうだが).

途中,飛行機のトラブルなどもあったが,ここまで多くの助けや協力を得て,国際ライプニッツ会議に参加し,無事帰国できたことに感謝する.

(そのうち思い出しては,加筆していく予定)