labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

ライプニッツ「より深遠な起源に由来する機械論の原理」(1702.5)の翻訳・訳解

久しぶりのブログ更新.

先日,日本ライプニッツ協会第11回大会にて,「延長とは何か?──連続体の本性と起源をめぐるライプニッツの考察──」と題して,研究発表をしてきました.

実は,初めて世に出した論文の中で,連続体の迷宮に対する積極的な回答が,力の概念にあると述べ,ライプニッツが形相的な原理を要請した理由を,彼の数学的自然学の基礎をめぐる力の形而上学の展開において考察することが今後の課題である,としたものの,最近までこの課題に取り掛かれていませんでした(池田真治,「ライプニッツの無限論と「連続体の迷宮」」,『哲学論叢』第31号,2004, p.47-48).

自身のこれまでの怠惰と,困難な課題に対する気概のなさを恥じるばかりですが,先の発表は,初心に帰って(?),その研究の再開としてあります.

研究熱が冷めないうちに,そのとき資料として付した,ライプニッツの1702年の論稿,「より深遠な起源に由来する機械論の原理」の翻訳を公開することにしました.以下より,ダウンロードできます.

池田 真治 (Shinji Ikeda) - 資料公開 - researchmap

ライプニッツデカルト哲学に対する反論を,主に物体の本性に関する考え方の違いを中心に,彼自身の動力学とその形而上学の発展との関連で簡潔にまとめたものです.とりわけ,ライプニッツデカルト派の物体則延長の学説を批判し,それに対して自身は物体のうちに自然生得的に植え付けられている動力学的な基礎を主張しています.その意味で,ライプニッツにおける物体や延長・連続性の概念と,力の概念との関係を伺う上でも,本稿は重要なテキストです.

まだ暫定版なので,訳語や訳解の検討を含め,この後もう少し修正すると思います.

今後の研究ですが,ライプニッツと「連続体の迷宮」に関する自身の研究を,アップデートしつつ,なんとかまとめられればと考えています.博論の書籍化ができていないので,それを目指したいものです.

後は,「連続体の迷宮」に関わるライプニッツのテキストや,普遍数学関連のテキストを翻訳していき,いずれどこかから,ライプニッツの数学論・自然哲学論集というかたちで,あるいは別のかたちでもいいので,何か出せればと思っています.