labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

第IX回 ライプニッツ国際会議 2011@ハノーファー。

第IX回 ライプニッツ国際会議 2011@ハノーファー。エントリーした研究者とその題目が、

以下のサイトより御覧いただけます。

http://www.gottfried-wilhelm-leibniz-gesellschaft.de/Veranstaltungen/Kongress/Abstracts/

総勢180人強が発表を予定している、ライプニッツ研究に関する世界最大の大会です。ほかの哲学者の大会でも、なかなかここまで集まらないのではないかと思います。それだけ、多くの人々が、現代においてもライプニッツに関心を示しており、ライプニッツは常に流行の対象として、関心を示され続けています。

テーマは「自然と主体(主観)」。これはライプニッツに限らず、哲学の歴史に底流する問題設定であり、現代でも、盛んに論じられるテーマであると言えます。ライプニッツは、まさにこの問題の解決のために、予定調和説ならびにモナドジーを構想したといっても過言ではないと思います。伝統的な、観念の問題ないし実体の問題は、この会議にてふたたび再考されることになるでしょう。われわれは、いったい自然における事物の観念をいかにして持つのか?これは、用語をずらしつつも、現代科学においても未解決にして係争中の問題であることでしょう。また、たとえば、「物体的実体」という概念は、単純な結合としてみれば、矛盾的ですが(なぜなら、ライプニッツにとって物体は一方で現象でしかなく、実体ではないから)、自然と主体を融合するアイデアとして有機体としての個体の実体的一性を擁護すべく、ライプニッツが提出した概念と見ることもできます。形而上学では、アカデミー版全集哲学系列6の第4巻で浮上してきた、「変化」の問題を中心とする、因果論および時間論が、現代の形而上学の復興とも言える状況で注目されそうです。そのテーマは、数学の哲学においては、数学的対象という想像力の産物が、いかにして、われわれの知性という思惟の能動的なはたらき、あるいは、理性という推論のはたらきによって、感覚という受動的能力および想像力という受動と能動の複合的な表象と協働して形成されるのか、また、数学的存在が、その形而上学的基礎をどのような仕方で自然の内に持つのかという問題に関わってきます。そして、機械論的自然観と両立するライプニッツの生命の形而上学は、近年特に注目されている領域です。有機体論をはじめとする、近年のライプニッツの生物学ないし生命論に関する議論の進展が、きっとこの会での目玉となることでしょう。

今回の大会には、日本から総勢10人くらいが参加を予定しております。前回は、酒井先生、松田先生、大河内先生の、3人だけだったと思います。わたしは、観客として参加しただけでした。今回これだけ参加者が伸びたのは、近年における、日本のライプニッツ研究の国際化を示していると言えるでしょう。参加を国内に呼びかけ、若手研究者を励まし、情報を浸透せしめた、日本ライプニッツ協会の後押しの効果も大きいように思います。今後の、ライプニッツ研究の進展が楽しみです。