labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

カッシーラーと概念形成の理論

『実体概念と関数概念:認識批判の基本的諸問題の研究』、山本義隆訳、みすず書房、1979. から「第一章 概念形成の理論によせて」をまとめてみました。原著は次のものです。こっちは読んでないです。 Cassirer, Ernst (1910), Substanzbegriff und Funktions…

国際ライプニッツ会議のプログラムが出る!

2016年7月18-23日にドイツ・ハノーファーで開催される国際ライプニッツ会議の暫定プログラムが出ていました。 X. Internationaler Leibniz-Kongress Vorprogramm [PDF] 日本ライプニッツ協会のセッションもあり、日本からも多くの方が発表されます。私は、…

リチャード・アーサー教授 東京講演会のお知らせ

リチャード・アーサー教授 東京講演会 "Leibniz from the Perspective of Modern Science" 2016年2月12日(金)16:00〜18:00 於 東京大学 本郷キャンパス 法文二号館 教員談話室 主催:富山大学、富山大学人文学部 共催:哲学会、日本ライプニッツ協会 ●上記…

国際シンポジウム「初期近代ヨーロッパの哲学とインテレクチュアル・ヒストリー」のお知らせ

基調講演者として国際的なライプニッツ研究者であるリチャード・アーサー教授、および、インテレクチュアル・ヒストリーの分野で国際的に活躍しているヒロ・ヒライ博士を招き、以下の国際シンポジウムを開催する予定です。哲学とインテレクチュアル・ヒスト…

モンテーニュの懐疑主義が近代にもたらした遺産

ジャンニ・パガニーニ「モンテーニュと近代懐疑主義」山上浩嗣 訳『思想』2015年第10号, pp. 7-24. 本論において、パガニーニはモンテーニュの懐疑主義が近代にもたらした遺産を、以下の5つの節に分けて分析している。それぞれの要点を述べると、以下のよう…

懐疑主義という近世哲学の病

2015年度・後学期の哲学講読の授業ではパスカル『パンセ』をやっており、モンテーニュ『エセー』を紐解きつつ、当時の「懐疑主義」について調べるため、J. アナス・J. バーンズ『古代懐疑主義入門』第一章・第二章を読んだ。非常にためになり、おもしろかっ…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(4)

東慎一郎「伝統的コスモスの持続と多様性――イエズス会における自然哲学と数学観」『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』第1集,月曜社,2010, 203-233. 上記の東さんの論文を再読しましたので、自分の考えをまじえつつ、簡単にまとめてみました。初期近代…

数理哲学史夏期合宿セミナー

下記の要領で、セミナーを開催します。 数理哲学史夏期合宿セミナー日程:8月26日-28日 場所:草津セミナーハウス D研修室 主催:数理哲学史研究会 8月27日 8:00-18:00 :研究発表会(阿部皓介、五十嵐涼介、池田真治、稲岡大志、久木田水生、鈴木佑京、中村…

「西洋近世哲学の諸問題」(教員免許状更新講習)の講義を終えて

昨日、教員免許状更新講習の講義を担当しました。土・日とも研究室にこもって、これまで行ってきた授業資料をベースに、三回の講義原稿とスライドを作成しました。講義を依頼されたときにあわてて概要を書いてしまい、範囲を広げすぎていたので、かなり困り…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(3)

Sayaka OKI(2013), "The Establishment of 'Mixed Mathematics' and Its Decline 1600-1800", HISTORIA SCIENTIARUM, Vo. 23-2, 82-91 上記にある隠岐先生の論文をまとめてみました。「混合数学」という用語の確立とその衰退について、非常に明快にサーベイ…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(2)

ゴクレニウスの『哲学辞典』の後に出されたアルシュテッド(Johann Heinlich Alsted)の『要約哲学辞典』(Compendium Lexici Philosophici, 1626)では、数学(Mathematica)は、聖霊学(Pneumatica)、自然学(Physica)とならんで、事象の近接的原因を探求し学知を…

17世紀西欧哲学における「数学」の位置づけ(1)

表題について、手始めに、ゴクレニウスの『哲学辞典』Lexicon Philosophicum(1613)における「数学の術・数学」"Mathematicae Artes. Mathemata"の項を参照してみる。どう効いているのかはまだ不明だが、数学をして、"scientia"ではなく"ars"「術」としてい…

模擬授業資料。

ご無沙汰してます。ちょいと前に、高校で哲学の出前授業をしてきました。とある委員になってから、現在は、こういう営業的なお仕事が増えてきまして。哲学は日本の高校では学べない分野なので、授業では、前提知識はいらない、なるべく身近なテーマを選びま…

数理哲学史のいいところ

数理哲学史という分野を開拓したいのですが、まだ業績が少なく、アピールするには時間がかかりそうです。誰かエライ人が、引っ張ってくれるといいのですけどね。とりあえず、この分野のいいところを適当に挙げてみましょう。 1) 研究蓄積がそんなにない 2) …

数理哲学史夏期合宿セミナー(仮)

「数理哲学史研究会」を起こしたものの、活動が数年滞ってしまっています。主に私の力不足が原因で、まことに申し訳ない次第です。各メンバーも同様に忙しく、それぞれの負担が厳しいということもありました。しかし、この分野の火をもう一度おこしたい。そ…

アカデミック・ライティング(論文の構成篇)

「アカデミック・ライティング」講習なるものを先月受けた。「アカデミック・ライティング」というのは、単に学術的な論文のことではない。それはあくまでも、「欧米の」学術的なスタイルに基づく論文の書き方のことだ。そこでは、「日本的な」物書きのあり…

西洋思想史(金曜・三限)第二回

第二回が終了。今日見たのは、魂の伝統的概念から、デカルト革命まで。まだ未完成な部分があるが、授業スライドは、履修者が復習に見られるように、そのうちアップしようと思う。スライドや配布資料には書かれていない、哲学的に関連する話題を、授業でアド…

哲学のすすめ(火曜・二限)、哲学演習(火曜・五限)初回。

火曜・二限の「哲学のすすめ」、初回の授業を終える。90人入る教室が超満員。昨年は教室の半分にも満たなかったと思うが、いったい、どうしたことだろう。世間の「哲学人気じわり」というのは、どうも本当かもしれない。50部刷ってきた資料が足りず。事務に…

人間科学入門(月曜日・一限)第一回

人間科学講座の教員によるリレー講義初回。月曜一限のためか、例年より人数が少ない。いつも初回はガイダンス。その後、各教員が、自己紹介と自分の担当する授業について手短に紹介する。自分の番。いきなり声が詰まって出ないなど(汗)。カンタンに自己紹…

「西洋思想史」(金曜日・三限)第一回

初回はイントロダクション。 前学期行う「西洋思想史」の授業について、シラバスを元に解説するのが通例であるが、初回から大きく脱線した。まず、「西洋思想史」とはそもそも何なのか。英語では、"History of Ideas"であるが、今年度のテーマは、「心と世界…

2015年度の授業が始まりました。

今年度の前学期に担当する授業は、以下の通り。【教養科目】 哲学のすすめ(火曜日・二限) 【専門科目】 人間科学入門(月曜日・一限)※リレー講義 哲学演習(火曜日・五限) 西洋思想史(金曜日・三限) 【総合科目】 心・身体・命(月曜日・三限)※リレー…

初期ライプニッツ研究の必読文献

初期ライプニッツ研究が大分進んでいるが、重要な二次文献に限れば、読むべき文献はまだそれほど多くないので、十分キャッチアップできる範囲内にあるのではないかと思われる。 Arthur Hannequin, “La première philosophie de Leibnitz”, in Etudes d'histo…

ライプニッツからホッブズへの手紙(1670年7月23日)

引き続き、ライプニッツにおけるホッブズのコナトゥス概念の受容を、もう少し詰めたいので、ホッブズ宛書簡を読むことにした。レムカーの英訳とアカデミー版原典(A II-1, 90-94)を参照する。ただし、レムカーが用いたゲルハルト版には、アカデミー版と比べて…

コナトゥス概念の転回――ホッブズからライプニッツへ

伊豆蔵好美「ホッブズと若き日のライプニッツ――十七世紀に「大陸合理論」の哲学は存在したのか?」『山本信の哲学 形而上学の可能性を求めて』所収、224-234頁。形而上学の可能性を求めて----山本信の哲学作者: 山本信ほか,佐藤徹郎雨宮民雄佐々木能章黒崎政…

ライプニッツのメレオロジー

ヘルベルト・ブレガー「ライプニッツ哲学における全体と部分」(稲岡大志訳)松田毅 編『部分と全体の哲学:歴史と現在』春秋社、2014年。部分と全体の哲学: 歴史と現在作者: 松田毅出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2014/11/22メディア: 単行本この商品を含…

個体の合成の原理としての「生命」

松田毅先生の「ヴァン・インワーゲンの「生命」――ライプニッツとの対比から」を拝読。松田毅編『部分と全体の哲学:歴史と現在』春秋社、2014年所収。部分と全体の哲学: 歴史と現在作者: 松田毅出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2014/11/22メディア: 単行本こ…

村上勝三『知の存在と創造性』読書メモ(2)「コナトゥスからモナドへ」(後半部)

前半部では「コナトゥス」と「無限小」のつながりが指摘された。後半部は、「コナトゥス」から「予定調和」と「モナド」へのつながりが、問題にされる。1670-71年の「抽象運動論」で、「コナトゥス」は、「調和」harmoniaと結びつけられている。コナトゥスは…

村上勝三『知の存在と創造性』読書メモ(2)「コナトゥスからモナドへ」(前半部)

不勉強で、だいぶ期間があいてしまったが、引き続き、村上勝三『知の存在と創造性』を読み進めていきたい。長くなりそうなので、第二章「コナトゥスからモナドへ」から、まず前半部である第1・2節について、簡単な内容紹介と、読んだ感想を述べていきたい。…

筑波大学附属図書館貴重書コレクション

国内でも、西洋の数学や哲学の貴重書が電子化されているものがありますが、筑波大学はなかなか充実していると思われたので紹介。筑波大学附属図書館から、次のところに入ります。貴重書コレクション(電子化リスト)下の方までスクロールすると、分野別に貴重…

仏語圏ライプニッツ協会

Claire Fauvergueさんからお知らせをいただきましたが、「仏語圏ライプニッツ協会」(Société d'études leibniziennes de langue française)のサイトができていました。http://leibnizsellf.org/(サイドバーのリンク集にも反映しました。ライプニッツ研究…