ライプニッツ「点から線の構成と実体から物質の構成の差異」
ライプニッツの遺稿から、点と線に関する幾何学的構造と、不可分な要素である実体とそれから合成される物質の構造の違いについてライプニッツがメモした部分を翻訳してみました。
「点から線の構成と実体から物質の構成の差異」
原題:DIFFERENTIA INTER CONSTITUTIONEM LINEAE EX PUNCTIS ET MATERIAE EX SUBSTANTIIS
典拠:A VI, iv, 1673-1674
日付:なし。[A版の配列からして、1690頃起草か?]
[1673] Hoc interest inter modum quo Linea constituitur punctis, et quo Materia constituitur ex substantiis quae in ea sunt, quod punctorum numerus non est determinatus, at substantiarum numerus etsi infinitus sit tamen est certus ac determinatus, nascitur enim ex actuali divisione materiae non ex possibili tantum.
線が点から構成される仕方と、物質がそのうちに内在している実体から構成される仕方とは異なっている。というのも、点の数は確定したものではないのに対し、実体の数は無限であるとはいえ確実で確定したものなのだから。なぜならそれは、物質のただ可能的な分割ではなく、現実的な分割から生じるからである。
Neque enim materia divisa est omnibus modis possibilibus, sed certis quibusdam proportionibus servatis, ut Machina, piscina, grex.
というのも、物質は、あらゆる可能な様態に分割されるのではなく、機械、養魚池、群れのように、何らかの確定した比例によって保たれるからである。
[1674] Linea non est aggregatum punctorum cum tamen corpus sit aggregatum substantiarum.
線は点の寄せ集めではないが、物体は実体の寄せ集めである。
Qui Atomos stabilivere, viderunt partem veritatis. Agnoverunt enim ad unum aliquid indivisibile deveniendum esse, quod sit basis multitudinis, sed in eo errarunt, quod unitatem in materia quaesiverunt, credideruntque posse corpus dari quod vere sit substantia una indivisibilis.
アトムを支持する者たちは、ある真な部分を理解してはいる。彼らは、多なるものの基礎をなすような、何か一つの不可分なものに到達するべきだということを認めるであろうから。しかし、彼らは、物質のうちにある一なるものを問われると、誤ちをおかすのである。そして、彼らは、一つの不可分な実体が真であることは物体が与えることができると信じるのである。
Considerandum an non debeat aliquid esse in Materia praeter substantias illas indivisibiles.
はたしてそのような不可分な実体とは別に、物質のうちに何があるべきなのかどうか、考えねばならない。