『世界哲学史5』発売記念。【付・第7章「ポスト・デカルトの科学論と方法論」誤植と訂正】
ちくま新書から好評発売中の『世界哲学史』のシリーズ、ついに『世界哲学史5』が本日(5月7日)付で発売になりました!(Amazonでは明日8日発売の模様)
わたしも第7章「ポスト・デカルトの科学論と方法論」を担当しております。ぜひ、よろしくお願いいたします。
第5巻は、中世〜近世への過渡期を包括的に扱う巻となっており、いよいよ近代哲学の夜明けがはじまります。
本巻は副題に「中世Ⅲ バロックの哲学」とあります。ベイコンやデカルト以降を近世ないし初期近代と区切るのではなく、「長い中世」としてくくられているのが特徴的です。時間軸の連続性と、世界的な横断のなかで展開される哲学を意識しているということでしょう。
ところで、わたしが担当したのは、この『世界哲学史』シリーズが意図するところから見たら、むしろ従来の哲学観である、西欧中心主義的な哲学史観の権化として登場してくる部分です。
本シリーズのなかで、うまく悪役というか、敵役を存分に果たしているかはわかりませんが、デカルト以降の「合理主義者」(理性主義者)としてしばしば通俗的にくくられるホッブズ・スピノザ・ライプニッツの科学方法論を再考してみましたので、ぜひご覧になってみてください。
わたしの原稿では、西欧哲学の流れのなかで受け継がれた数学的方法論についてできるだけ内容を濃くしようとがんばってはみたものの、結局、西欧哲学の枠を出られず、あまり「世界哲学史」をした感はありません。むしろ、他の方の章で、それを補ってもらっています。
たとえば、第1章と第4章でライプニッツとスコラ哲学との関係、また第4章でライプニッツとスカリゲルおよびアヴェロエスとの関係、第5章でライプニッツの中国自然神学論、第6章でライプニッツにおける神学と哲学の関係、第10章でライプニッツと儒教の関係に触れていただいています。
個人的には、第5章の「イエズス会とキリシタン」が、宣教師の観点から東西の哲学と宗教を自在に行き来していて、これぞ世界哲学史感が半端なかったです。
なお、さっそくで恐縮ですが、誤植と訂正があります。お詫び申し上げます。
第7章「ポスト・デカルトの科学論と方法論」誤植と訂正
206頁
誤:
知力と表象力という認識能力の区別、真なる観念とその他の観念(・・・)とを区別する必要を認める
正:
知力と表象力という認識能力の区別、および真なる観念とその他の観念(・・・)との区別をする必要を認める
〔日本語のつながりが不自然なため訂正〕
216頁
誤:
正:
〔校正の過程で、ウォリスとスホーテンの順番がズレてしまったため訂正〕
最終更新:2020年5月7日