labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

ライプニッツ『モナドロジー』§12

1. 原文

しかし変化の原理以外に、いわば単純実体の種別化と多様を与えているところの、変化するものについての細部もまたなければならない。

Mais il faut aussi qu'outre le principe du changement, il y ait un DETAIL DE CE QUI CHANGE, qui fasse pour ainsi dire la specification et la varieté des substances simples.

2. 備考

変化の原理があるだけでは、モナドは、他のモナドとのあいだに差異をもたない一様なものになってしまう。したがって、モナドは実際に変化の詳細を持たなければならない。すなわち、モナドを区別しているのはモナドの内容、モナドが内に持つ多様性である。

3. 解釈

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4. 比較参照

* PNG. §3. いたるところ、それらの作用によって互いに現実的に区別された単純実体が存在する。それら単純実体は、それらの関係を連続的に変化させる。

* DM. §8. いくつかの述語が同じ主体に帰属されうるとき、この主語がもはや他のいかなるものにも帰属されえないとき、われわれがそれを個体的実体と呼ぶことは、真である。しかし、それでは十分でない。また、そのような説明は唯名的なものでしかない。したがって、われわれは、考えねばならない。ある主体に真に帰属されるとはいったいどういうことなのか、考察せねばならない。今、すべての真なる述定が事物の本性のうちにいくつかの基礎を持つということ明らかである。また命題が同一的でない場合も、すなわち、述語が主語のうちに明示的に含まれていない場合も、述語は主語のうちに潜在的に含まれているのでなければならない。これが哲学者が内在inesseと呼ぶ物であり、それによって、述語が主語のうちにあるということを言っているのである。

5. レッシャーのコメンタリー

・specification(specificatio)とは、スコラの見方によれば、その保有が、その事物が属するところの類の構成要素としてその事物を特徴づけるような、事物の性質のこと。すなわち、それがそれであるところのものであると同定する特徴のこと。

・すべてのモナドは複雑な内的構造を持つ。終わりなき多様化[変奏]へと進む、差別化された細部の内的複雑さである。それは、いくぶん、πあるいは2の二乗根のような、ある単位の無限小数展開のようなものである(細部については37節を見よ)。

・この複雑性は、実体を他の実体から区別するのに役立つ。また、実体のあらゆる状態を他のすべての実体の状態から、時間を通じて区別するのにも役立つ。

・実際、実体的変化は単に細部の変更に存する。ライプニッツにとって、その特徴的同一性を確立するのは、実体の性質の全体性(すなわち、実体の完全個体概念)である。

・この基礎のもとに、各個体的実体は、自分自身にとって種である。

・このモナドの質的複雑性は、その量的単純性と比べて、著しい対照をなす。このことは、ライプニッツがやがて単純実体に言及する際にモナドあるいはエンテレケイアといった専門用語を好むようになった理由を説明するであろう。