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8/5-7に行われた数学基礎論サマースクール@慶應義塾大学に参加してきました。
久々の母校です(学部は慶応でした)。帰ってきたついでに、図書館の入館証の更新もしておきました。パリのソルボンヌ大学やパリ市の図書館、およびフランス国立図書館もすばらしかったですが、わたしのいちばんの思い出の図書館は、今でもここですかね。ノスタルジー成分が強いかもしれませんが、閉館まで悶々と勉強した日々のことを思い出します。
それにしても、通っていた当時はそこまで意識していなかったのですが、構内を行き交う女子学生、みなかわいいですね・・・。こんなところに、本当に通っていたのだろうか、と。いったい、自分は学生のとき何をしていたのか、と。ああ、慶応生に戻りたいなー。・・・ん?ハッ、つい、脱線してしまいました。
さて、肝心のサマースクールに関してですが、自分だといいかげんなことを言ってしまいそうなので、カンタンな感想のみにとどめておきます。
初日の照井先生の直観主義論理の入門、ロジック初心者にも配慮した、非常に明快な講義でした。学部の頃、照井先生の中級論理学の授業を受けました。当時も十分明晰でしたが、さらに一層磨きがかかっているご様子。数学・計算機科学サイドからのモチベーションも、わかりやすくお話されていました。あと、私が十分に把握できていないだけかもしれませんが、随所に高度な内容に関する言及もあったと思います。すでに初日だけで、富山からわざわざ来た元はとれたというもの。先生方は、みなボランティアでやられていると聞いて、たまげました。脱帽です。
2日目・3日目は、新井先生による直観主義命題論理、勝股先生による論理への圏論的アプローチ、根元先生による構成的数学入門の授業。今回のサマースクール、話題としては、個人的には、最初の照井先生の直観主義論理の講義と、最後の構成的数学入門にもっとも興味がありました。2日目以降は、数学科の学生にとっては、ちょうど良かったのかもしれませんが、専門が哲学、しかも近世哲学で、片手間に数学をやっているものには、証明の説明が簡潔すぎたり、予備知識が足りないところがあったりで、フォローするのが非常に難しかった、というのが正直なところ。
直観主義命題論理は、普通に論理学の標準的知識の欠如を認識しました。圏論に関しては、代数の知識がもう少しあれば良かったと痛感しました。構成的数学に関しては、解析がもう少しちゃんと身に付いていれば、もっと楽しめたかな、と。構成的数学だと通常の数学で認められている場合分けなどにも制限がかかる場合があるので、構成的数学ではその制限を、どのような方法で代替して、どうやって乗り越えるのか、ワクワクして聞いていました。ただ、自分の知識と理解力の欠如によるものですが、もう少し証明の見通しがわかるようだと嬉しかった。
今回のサマースクールに参加して、「極めて有意義だった」と言いたいところですが、不勉強で消化不良の部分も多く、そう言えるほどの確信は自分にはありません。要するに、初日以降は難しくてあまりついていけなかったのですが、先生方の初心者への配慮で理解できる部分も多々あり、説明を省略することで常識とされている部分もよくわかり、自分の勉強の足りない部分や、哲学サイドとしてどういったところに興味があるのか、改めて考えてみたところ、浮き彫りになった部分もありました。とりわけ、直観主義や構成的数学は、自分のテーマである「連続体の迷宮」ともからんでとても興味深いので、もう少し勉強できたらと思います。反省するならば、きちんと具体的な目標を定めて、勉強していきたいものです。ひとまず、不確かな基礎を改めるべく、鹿島亮『数理論理学』でも、きちんとやろうかなと思います。畏友S氏も絶賛していましたし、来年、論理学の授業をやるかどうかはわかりませんが、授業でやった自然演繹と接続する上でも、いちばん良い本ではないかと。
- 作者: 鹿島亮
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2009/10/01
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勉強熱心でとても優秀な若手の方とお話したり、一緒にごはんを食べたりして、とても刺激を受けたのが救いです。やはり、数学や数学の哲学は難しいけど、楽しいですね。