labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

Leibniz

Machina arithmetica―精神を節約し、幼児でもできる計算機―

森田真生さんからのとある質問がきっかけで、Machina arithmetica(1685)すなわち「算術計算機」の英訳を読んでみた*1。原題はもう少し(というかだいぶ)長い:Machina arithmetica in qua non additio tantum et subtractio sed et multiplicatio nullo, di…

研究メモ:個体と抽象

ライプニッツにおける数学的存在と抽象の理論に向けて、このあいだの日本ライプニッツ協会大会での発表後、山内志朗先生に指摘された文献の一つ、 Larence B. McCullough, Leibniz on Individuals and Individuation: The Persistence of Premodern ideas in…

[『ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡』(Paul Lodge訳)紹介

少し前ですが、ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡が、ポール・ロッジによる新訳で刊行されました。羅英対訳本です。GarberとSleighが編集のYale Leibniz SeriesとしてYale大学出版局から出ています。Yaleはたしか、ライプニッツ研究者のAdams夫妻がいた…

【ライプニッツ関連新刊紹介】G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)

先日発売された、G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)の解説部分を読みました。形而上学叙説 ライプニッツ−アルノー往復書簡 (平凡社ライブラリー ら 7-1)作者: G.W.ライプニッツ,橋本由美子…

ライプニッツ『モナドロジー』§10

1. 原文 あらゆる創造された存在者が変化に服するということも、私は認める。したがって、創造されたモナドもまた同様であり、さらに、各々のモナドにおいてこの変化というものが連続的であることも、私は認める。 Je prends aussi pour accordé que tout êt…

ライプニッツ『モナドロジー』§9

1. 原文 各々のモナドは、それぞれ他のモナドと異なっているのでなければならない。というのも、自然のうち、および、内的差異あるいは内在的規定に基づいている差異を見いだすことが出来ないところでは、一方が他方と完全に似通っている2つの存在者は決し…

ライプニッツ『モナドロジー』§8

1. 原文 しかし、モナドはいくつかの性質を持たねばならない。でなければ、それは存在者ですらなくなってしまう[*また、もし単純実体が無であったならば、複合実体もまた無に還元されるであろう]。もし単純実体が、それが持つ性質によって区別されないなら…

ライプニッツ『モナドロジー』§7

BoutrouxおよびLattaの注解は、100年以上も前のものですが、どちらもとても充実しているようなので、それらも含めるかどうか、悩んでいました。少しパラパラ読んでみると、どうやら、河野与一の注解は、ほとんどBoutrouxとLattaを踏まえたもののようです。実…

ライプニッツ『モナドロジー』§6

1. 原文 したがって、モナドは一挙にしか始まることも終わることもできない、と言うことができる。すなわち、モナドは創造によってしか始まることができず、絶滅によってしか終わることができない。それに対して、複合されたものは、部分ごとに始まったり終…

ライプニッツ『モナドロジー』§5

1. 原文 同じ理由によって、それによってある単純実体が自然的に始まりうるような、いかなる仕方もない。というのも、単純実体は複合によって形成されえないからである。 Par la même raison il n'y en a aucune, par laquelle une substance simple puisse …

ライプニッツ『モナドロジー』§4

1. 原文 モナドにはおそれるべき解体もない。また、それによってある単純実体が自然的に消滅する*ような、(われわれが)考えられる仕方もない[われわれには考えられない]。 Il n'y a aussi point de dissolution à craindre, et il n'y a aucune manière …

ライプニッツ『モナドロジー』§3

1. 原文 ところで、部分がないところでは、延長もなく、図形もなく、可能な分割もない。 そして、これらのモナドは、自然の真のアトムであり、一言で言えば、事物の要素である。 Or là, ou il n'y a point de parties, il n'y a ni étenduë, ni figure, ni d…

ライプニッツ『モナドロジー』§2

1. 原文 また、複合体が存在するのであるから、単純実体がなければならない。 なぜなら、複合体は、単純体の集積あるいは寄せ集めにほかならないのであるから。 Et il faut qu'il y ait des substances simples, puisqu'il y a des composés ; car le compos…

ライプニッツ『モナドロジー』§1

平成24年度前期の講義で、ライプニッツの『モナドロジー』(1714)を扱いました。来年2014年は、『モナドロジー』が起草されてから、300年の記念すべき年に当たります。噂によると、各国で様々なプロジェクトが、裏で動いているようです。私も、国内の一つの…

新刊案内

次の書物が最近出たようです。ROLAND (J.), Leibniz et l’individualité organique, Les Presses de l'Université de Montréal, Coédition avec Vrin, 2012.http://www.amazon.fr/Leibniz-lindividualité-organique-Jeanne-Roland/dp/2711683990http://www.p…

招待講演@神戸大学

3月10日、第5回MOW 神戸大学・人文学研究科にて、加藤先生のトマス・アクィナスにおける全体と部分について、および、中山先生の4次元主義メレオロジーについてのご発表とともに、末席ながら、 「ライプニッツにおける境界概念」 というタイトルで、スライド…

「ライプニッツ研究センター」のサイト。

2月8日、Wenchao Li教授(ライプニッツ・ハノーファー大学)の発表を聴く前に、パリ‐ソルボンヌ大学を母体とする、ライプニッツ研究センター(Centre des Études Leibniziennes)の新サイト建設に関する打ち合わせに顔を出してきました。以下が新サイトのア…

【新刊案内】ポール・ラトー編『ライプニッツ『弁神論』読解』ほか。

ライプニッツ研究の新刊案内です。 Paul Rateau (éd.) [2011] Lectures et Interprétations des Essais de Théodicée de G. W. Leibniz【amazon.fr】 Rateau氏はRevue philosophique de la France et de l'Etranger(2011,136/4)にも、"Sur la conformité d…

ライプニッツ研究会(パリ)

Séminaire de recherche sur Leibniz, animé par Paul Rateau (Paris I) et Anne-lise Rey (Lille 1) ポール・ラトー氏とアンヌ=リーズ・レイさんによるパリ第一大学を母体とするライプニッツ研究会です。 定期的に案内が回ってくるのですが、まだプロヴァ…

【新刊案内】イヴォン・ベラヴァル 著、『ライプニッツのデカルト批判 上』(叢書・ウニベルシタス) 岡部 英男、伊豆藏 好美 訳

フランスにおけるライプニッツ研究の泰斗Yvon Belavalの主著、Leibniz: Critique de Descartesの邦訳がついに出ました。ライプニッツのデカルト批判 上 (叢書・ウニベルシタス)作者: イヴォン・ベラヴァル,岡部英男,伊豆藏好美出版社/メーカー: 法政大学出版…

ライプニッツ・ワークショップ

明日は、ライプニッツ研究センター(パリ、ソルボンヌ)による、初のワークショップに参加してきます。これまであまり注目されてこなかった、ライプニッツの幾何学の観点から、モナドロジーの形而上学および現象学を読み解くという新しい試みによって記念碑…

ライプニッツと化学

「化学の哲学」が最近、ホットになりつつある予感がしてます。 化学がガチにできる、ライプニッツィアンが今日求められている気がします。 なんか、そんな気がしたので、twitterでつぶやいたところ、某kunisakamoto氏からつっつかれたので、いろいろ調べてみ…

第IX回 ライプニッツ国際会議 2011@ハノーファー。

第IX回 ライプニッツ国際会議 2011@ハノーファー。エントリーした研究者とその題目が、以下のサイトより御覧いただけます。http://www.gottfried-wilhelm-leibniz-gesellschaft.de/Veranstaltungen/Kongress/Abstracts/総勢180人強が発表を予定している、ラ…

ライプニッツにおける境界とその様相

ライプニッツ国際会議の原稿ができました。 Shinji IKEDA [2011], ,,Les limites et ses modalités chez Leibniz“, IX. Internationaler Leibniz-Kongress, Natur und Subjekt, 26 September bis 1. Oktober 2011, Leibniz-Universität Hannover Preprint Le…

ライプニッツ研究センター@Paris

現在、パリはソルボンヌ大学にて、「ライプニッツ研究センター」(Centre d’Études Leibniziennes)が設立準備中です。 Centre d’Études Leibniziennes 【リンク】 Université Paris-Sorbonne, Concepts et langages (Ecole Doctorale V) Unité: Métaphysiqu…

Acta Eruditorum

われわれライプニッツィアンを含む、近代の哲学史研究者・科学史研究者にとって、朗報であります。 Acta Eruditorum http://www.izwt.uni-wuppertal.de/repertorium/MS/AE.html from: IZWT, Repertorium deutscher wissenschaftlicher Periodika des 18. Jah…

エピステモロジー・セミナー@Paris

明日は、以下の発表を聴きに、パリに行ってきます。 Eberhard KNOBLOCH - Géométricité, rigueur et analyse: comment Leibniz a-t-il réagi à la Géométrie cartésienne? リンクMichel SERFATI - Aspects philosophiques de l’émergence du symbolisme math…

ライプニッツの弁神論-国際会議-2010

稲岡さん経由で以下の会議についての情報を知りました。 LEIBNIZ'S THEODICY: CONTEXT AND CONTENT September 16th to September 18th, 2010 THE CENTER FOR PHILOSOPHY OF RELIGION AT THE UNIVERSITY OF NOTRE DAME http://philreligion.nd.edu/conference…

幸福に関するライプニッツの格律について。

ライプニッツは次のように言っていた。 …ここで説明されるべきは喜びと苦しみの本性である。それは成功の表象以外のなにものでもない。すなわち、自らの完全性についての表象にすぎない。したがって、人は、ある努力に満足するとき成功し、努力に抵抗すると…

ライプニッツ「運動は何か相対的なものである」の粗訳。

Leibniz [2.1677] Motum esse quiddam respectivum, A VI-4, 1970f. 驚くべき事柄。運動は何か相対的なものである。どちらの物体が運動しているのか、区別できない。ゆえに、もし運動が変状ならば、その基体となるものは、何か単独の物体ではなくして、宇宙…