【新刊案内】イヴォン・ベラヴァル 著、『ライプニッツのデカルト批判 上』(叢書・ウニベルシタス) 岡部 英男、伊豆藏 好美 訳
フランスにおけるライプニッツ研究の泰斗Yvon Belavalの主著、Leibniz: Critique de Descartesの邦訳がついに出ました。
- 作者: イヴォン・ベラヴァル,岡部英男,伊豆藏好美
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: 単行本
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すべてのライプニッツ研究者が読むべき書です。近世哲学研究者も必携でしょう。
数学と想像力の問題をテーマに博論を書いた自分としては、大いに参考にさせてもらった本です。アップデートはしたつもりですが、越えられない部分も多かったと思います。この本と真剣に向き合ったのは遅く、博士課程に入った頃に、レジュメを作りつつ、苦労して読んだ記憶があります。
この本の特徴は、ライプニッツのデカルト批判を基調に、ライプニッツの著作を網羅的に当たりつつ、数学的モデルを浮き彫りにしようとしているところにあったかと思います。数学をつかさどる精神のはたらきである想像力に注目しているのも、そのためです。ただし、歴史的な順序にそれほど配慮していないという欠点もあり、また、数学基礎論争の問題に寄せてライプニッツの思想を単純化しすぎている印象もあります。しかし、その深い哲学的探究と、的確で気の利いたコンパクトな思想の表現は圧巻であり、ライプニッツ哲学の理解を大きく前進させたものとして、現代でも評価されるべきものでしょう。
現代のライプニッツ研究の観点から、批判的にベラヴァルを再読しなければなりません。(フランスに帰る前に手に入れたかった・・・)。