labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

哲学

知性の抽象をめぐって―ものの十全な認識に関するデカルトの手紙―

『デカルト全書簡集』(知泉書館)にある、「デカルトからジビューへの手紙」を原文を参照しつつ読む。難解なテキストで、丁寧かつ正確な翻訳であると思うが、なかなか日本語が頭に入ってこなかったため、訳文には自分の言葉に少し置き代えたものもある。デ…

精神による形象化―デカルト『思索私記』についての読書ノート―

デカルトを読んでいると興奮する。 Ut imaginatio utitur figuris ad corpora concipienda, ita intellectus utitur quibusdam corporibus sensibilibus ad spiritualia figuranda, ut vento, lumine: unde altius philosophantes mentem cognitione possumu…

研究メモ:個体と抽象

ライプニッツにおける数学的存在と抽象の理論に向けて、このあいだの日本ライプニッツ協会大会での発表後、山内志朗先生に指摘された文献の一つ、 Larence B. McCullough, Leibniz on Individuals and Individuation: The Persistence of Premodern ideas in…

数学的対象の知覚論に向けて

今日は午前はロジックの勉強会.非常に複雑なところ.モデル理論を基礎から叩き込まないとダメっぽい.午後は翻訳作業をしてたが,そのあと寝込む.風邪で熱が出たようだ.寝たらたぶん治った.のどが乾いて,みかんを6個食べた.夜はまた別の翻訳仕事をちび…

[『ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡』(Paul Lodge訳)紹介

少し前ですが、ライプニッツーデ・フォルダー往復書簡が、ポール・ロッジによる新訳で刊行されました。羅英対訳本です。GarberとSleighが編集のYale Leibniz SeriesとしてYale大学出版局から出ています。Yaleはたしか、ライプニッツ研究者のAdams夫妻がいた…

【ライプニッツ関連新刊紹介】G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)

先日発売された、G.W.ライプニッツ『形而上学叙説 ライプニッツーアルノー往復書簡』(平凡社ライブラリー、2013年8月)の解説部分を読みました。形而上学叙説 ライプニッツ−アルノー往復書簡 (平凡社ライブラリー ら 7-1)作者: G.W.ライプニッツ,橋本由美子…

「論理的思考のすすめ」期末試験問題およびその解答篇

昨日、哲学演習「論理的思考のすすめ」の試験を終えました。みなさま、たいへんお疲れ様でした。試験後、ささやかな打ち上げを行い、互いの労を慰め合うなどしたのでした。 ちなみに、打ち上げの費用はすべて私が持ちました(しくしく)。注文したお寿司を受…

論理的思考のすすめ 第8回解答篇

今日で、哲学演習「論理的思考のすすめ」の授業はおしまいです。第8回解答篇を置いておきますので、各自ダウンロードしてください。これまでのレジュメおよび解答篇もまとめて置いておきます。 誤植や間違いの修正などもしてありますので、ご確認ください。 …

論理的思考のすすめ 第6回解答篇

遅くなりましたが、第6回の問題解答篇です。取り急ぎ。第6回レジュメ 4枚カード問題 第6回解答篇

BJHPを購読してみる

うちの大学図書館からは電子ジャーナルでも読めなかったBritish Journal for the History of Philosophyを、自腹で講読することにしました。Full会員になれば、年6冊送ってくれて年間8000円弱なので、リーズナブルで良いかな、とポチリ。Pay-Palとかいうので…

「論理的思考のすすめ」第8回レジュメ&問題解答篇

梅雨ですね〜。ようやく除湿機を買いました。富山は年間を通じて梅雨のようなものなので、必須ですよね。ダニとかも、この時期増えるそうですし。しかし、湿気はお肌には良いそうです。むむむ。授業準備の方も、仕事が忙しく、体力も尽きてきて、ペースダウ…

「非存在の哲学」入門(講義資料)

2013年度、富山大学人文学部における一年生を対象としたリレー講義、「人間科学入門」における「非存在の哲学」入門のスライド資料です。 ほかに引用の抜粋集と、レムの「とどのつまりは何も無し」を資料として配布しました。いきなりハイデガーやサルトルな…

「論理的思考のすすめ」第6回レジュメの補足

「論理的思考のすすめ」第6回レジュメの補足です。4枚カード問題これまでのレジュメへのリンクも、ここでまとめておこうと思います。「論理的思考のすすめ」 第1回レジュメ 第2回レジュメ 第3回レジュメ 第4回レジュメ 第5回レジュメ 第6回レジュメ 第7回レ…

「論理的思考のすすめ」第7回レジュメ

前回の授業後、量化文のド・モルガン則の場合、ヴェン図ではどう表現されるのか、学生に質問されました。 量化文の場合、図的には表現が難しいと答えたものの、その場でいろいろ思考錯誤してみましたが、難しく、結局うまく質問に答えることができず。パース…

「論理的思考のすすめ」第6回レジュメ

今日でようやく第4回目のレジュメのところまで終わりました。量化の規則に入って、一気に難しさを感じているようです。それにしても、もう少し、宿題をがんばってやってきてくれると、うれしいのですが・・・。すでに3回分くらい遅れているので、こちらもレ…

「論理的思考のすすめ」第5回レジュメ

今日の「論理的思考のすすめ」の授業は、第4回の⇒-除去まで進みました。排他的選言を記号化したり、推論規則を覚えたりしました。カンタンな例題をもとに証明の仕方を説明し、いくつか練習問題に取り組みました。 記号化では、括弧の使い方を誤ったり、証明…

「論理的思考のすすめ」第4回レジュメ

世間はGWのようですが・・・。天気がすごく良いので、自転車で遠出したいのですが・・・。 「論理的思考のすすめ」第4回レジュメ

授業雑記&「論理的思考のすすめ」第3回レジュメ

今日は、「哲学のすすめ」および「論理的思考のすすめ」第3回目の授業をしました。「哲学のすすめ」は科学実在論の側につくか、反実在論(道具主義)の側につくかで、アンケートをとったところ、きれいに半々に割れました。そのアンケートに基づき、今回は…

2013年度・前学期の講義資料

教員2年目になりました。すでに前学期の授業が始まり、今年は昨年度よりも実質2コマ増え、わりと忙しい毎日を送っています。昨年度は「西洋思想史」で無限論、「哲学演習」でライプニッツ『モナドロジー』、「哲学のすすめ」で哲学とその方法論をそれぞれ…

ライプニッツ『モナドロジー』§10

1. 原文 あらゆる創造された存在者が変化に服するということも、私は認める。したがって、創造されたモナドもまた同様であり、さらに、各々のモナドにおいてこの変化というものが連続的であることも、私は認める。 Je prends aussi pour accordé que tout êt…

ライプニッツ『モナドロジー』§9

1. 原文 各々のモナドは、それぞれ他のモナドと異なっているのでなければならない。というのも、自然のうち、および、内的差異あるいは内在的規定に基づいている差異を見いだすことが出来ないところでは、一方が他方と完全に似通っている2つの存在者は決し…

ライプニッツ『モナドロジー』§8

1. 原文 しかし、モナドはいくつかの性質を持たねばならない。でなければ、それは存在者ですらなくなってしまう[*また、もし単純実体が無であったならば、複合実体もまた無に還元されるであろう]。もし単純実体が、それが持つ性質によって区別されないなら…

ライプニッツ『モナドロジー』§7

BoutrouxおよびLattaの注解は、100年以上も前のものですが、どちらもとても充実しているようなので、それらも含めるかどうか、悩んでいました。少しパラパラ読んでみると、どうやら、河野与一の注解は、ほとんどBoutrouxとLattaを踏まえたもののようです。実…

ライプニッツ『モナドロジー』§6

1. 原文 したがって、モナドは一挙にしか始まることも終わることもできない、と言うことができる。すなわち、モナドは創造によってしか始まることができず、絶滅によってしか終わることができない。それに対して、複合されたものは、部分ごとに始まったり終…

ライプニッツ『モナドロジー』§5

1. 原文 同じ理由によって、それによってある単純実体が自然的に始まりうるような、いかなる仕方もない。というのも、単純実体は複合によって形成されえないからである。 Par la même raison il n'y en a aucune, par laquelle une substance simple puisse …

ライプニッツ『モナドロジー』§4

1. 原文 モナドにはおそれるべき解体もない。また、それによってある単純実体が自然的に消滅する*ような、(われわれが)考えられる仕方もない[われわれには考えられない]。 Il n'y a aussi point de dissolution à craindre, et il n'y a aucune manière …

ライプニッツ『モナドロジー』§3

1. 原文 ところで、部分がないところでは、延長もなく、図形もなく、可能な分割もない。 そして、これらのモナドは、自然の真のアトムであり、一言で言えば、事物の要素である。 Or là, ou il n'y a point de parties, il n'y a ni étenduë, ni figure, ni d…

ライプニッツ『モナドロジー』§2

1. 原文 また、複合体が存在するのであるから、単純実体がなければならない。 なぜなら、複合体は、単純体の集積あるいは寄せ集めにほかならないのであるから。 Et il faut qu'il y ait des substances simples, puisqu'il y a des composés ; car le compos…

ライプニッツ『モナドロジー』§1

平成24年度前期の講義で、ライプニッツの『モナドロジー』(1714)を扱いました。来年2014年は、『モナドロジー』が起草されてから、300年の記念すべき年に当たります。噂によると、各国で様々なプロジェクトが、裏で動いているようです。私も、国内の一つの…

ヘルマン・コーエン『無限小の方法の原理とその歴史』―目次―

ヘルマン・コーエン『無限小の方法の原理とその歴史』(Hermann Cohen, Das Prinzip der Infinitesimal-Methode und seine Geschichte, Berlin, 1883)の目次を訳してみました。参照したのは、Georg Olmsによるリプリント版です。ご覧のように、興味深い項目…