labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

土曜は、一週間の疲れを癒すべく、心身の回復をはかり、雑事を片付けたのちは、のんびり趣味に没頭。ゴールドベルグ変奏曲からアリアのチェロアレンジ楽譜をネットで見つけたので、それをひがな一日弾いていた。後で、同曲のヨーヨー・マによる演奏youtubeで観て普通に凹んだが、解釈と演奏を参考に勉強。大きな進展がえられた気がする。

日が変わっても熱は冷めず、ほかにもバッハのチェロアレンジ楽譜をいろいろと見つけてしまったため、日曜も仕事そっちのけで、チェロに没頭してしまう。体調回復のつもりが、かえって体力を消耗した気がする。ぼんやりして夕方頃テレビを点けたら、BSで世界自転車選手権2012をやっていたので、思わず観てしまった。最近は雨が多いし、ジョギング後に血尿が出るなどして体調を崩してしまったので、運動は今は控えているけど、また動きたくなった。

しかし、本業はどうしたと思わないわけでもない。土・日は遊んでばかりいたので、さすがに焦りが出てきた。ここでやらねばただの怠け者である。夕方から、火曜の哲学特殊講義の授業準備。「連続体の哲学」ということで、思いっきり自分の専門全開です。しかし学生にとって近づきやすくするため、教育的な配慮も怠らないようにしていきたい。まずは、ゼノンのパラドクスから入り、連続体の問題がどのように展開してきたのか、哲学の歴史を紐解きつつ問題の核心を探る予定。

W. SalmonのZeno's ParadoxのIntro部分、SEPのZeno's Paradoxの記事、セインスブリ―の『パラドックスの哲学』の「ゼノンのパラドックス」の章、アリストテレスの『自然学』やロスによる注解などの過去に作ったレジュメを見つけたので、3回目ぐらいまでは、それらでなんとかなりそう。だけど、それだと自分の知識や理解に進展がないので、Nick Huggett編・注解、Space from Zeno to Einsteinなどを読んで、理解を補強していこうと思っているところ。空間の問題をめぐる古典的著作の抜粋集で、コメンタリーが使えたらうれしいけど。

Space from Zeno to Einstein: Classic Readings with a Contemporary Commentary (A Bradford Book)

Space from Zeno to Einstein: Classic Readings with a Contemporary Commentary (A Bradford Book)

空間論の抜粋集と言えば、おそらくMilic Capek編、The Concepts of Space and Timeが有名だろう。自腹で入手したので、こちらも余裕があれば参考にしていきたい。

ゼノンのパラドクスについては、巷に多くの概説書や通俗書が出ており、哲学入門として古くから取り上げられてきた問題だけに、専門的研究も枚挙にいとまがない。やるのは人文学部向けの授業なので、哲学サイドでこれまで主にどのような取り扱いがされてきたのかに焦点をしぼらざるをえないが、自分自身としては、現代の数学的な取り扱いもフォローしていきたい。なぜ哲学ではこの問題が重用視されてきたのか、科学や数学を含めて現代ではどのように考えられているのか、今一度再考してみたいと思っている。今後も引き続き、自分の専門的研究テーマとして、「連続体の問題」に取り組む所存。実は、もう少し具体的なテーマもいくつか考えているが、まだ研究の方向性に悩みどころも多く、踏み込む勇気が出ないのか、ここしばらくは悶々としている。この際、踏ん切りがつくところまでやってみるほかないかもしれないが、たぶん一生かかってもどうかというところだろう。たぶん、もうしばらくは悶々としている。