labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

ある悲しくて残酷な偶然。

留学を受け入れ研究を指導して頂いたアラン・ミシェル先生の退官記念講演会と自身の帰国日程とが重なってしまった。とても残念でならない。自らも発表する予定で原稿を準備中だったので、二重に悲しい。先生は、歴史家の精神を持った、数学的エピステモロジーの伝統の継承者という印象であった。今からちょうど3年前。初対面にもかかわらず気さくな感じで、食事までご馳走になり、研究方針や資料収集についてアドヴァイスを頂いたことが、今でも鮮明に思い出されます。しかし直接ご指導していただいているのはライプニッツ研究者のRauzy先生であり、エピ研ではもっぱらCrocco先生にお世話になっているので、やはり近付きがたく、一つ雲の上の存在という感じであった。自分はなんともふがいない教え子で、先生の主著である『積分の近代的理論の構成』(Constitution de la théorie moderne de l'intégration, Vrin 2002)も満足に読めておりません。せめて学部生に向けなされていた科学史の講義にも積極的に参加しとくのでした。今となってはいたしかたありません。いつか学恩を返せるよう、精進したいと思います。