labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

大寒。こちらはまあまあ寒かった。

朝5時起床、解析の復習をしていたが、体調急降下でふたたびベッドにハード・ランディング。このあいだの腹痛との格闘で、体力をごっそり持っていかれたらしい。体の不調は爪に出るとどこかで聞いた気がするが、親指の爪がなんか変型してきている。やばいかもしれん。昨日も、なんとか書類を送ったあと、疲労のせいか、眼の調子がいつも以上に芳しくなく、たいしたことは何もできなかった。夜、ようやく落ち着いてきたので、研究をしようと思ったところ、フィロローグの友人が遊びにきて、主に文学について2時間ほど話した。語れる文学など、たかが知れているのだが。今年はまだ一冊も小説を読んでいないし、読む予定もまだない。いや、読みたいのは山々なのだが、手に入れ難い。フランス文学は、古典以外、読む気がしない。最近は気分転換に、BDを読んだりしている。言い換えれば、日本の漫画の仏訳。まだ萌えたいお年ごろ。

まだ若いので、10時前にはなんとか持ち直し、解析研に参加。今日もおもしろかった。もっと勉強する時間を作って、また貢献できるようにしたい。昼からマルセイユに移動して、FRUMAMの数学史セミナーに出席。無線電信(TSF)におけるポアンカレの寄与についての数学史・科学史的考察に関する発表を聴く【リンク】。テクニカルなところは説明を省く礼儀なのでさっぱりだったが、歴史的な展開や論点を丁寧に語ってくれたので、おもしろく聴けた。ポアンカレに関しては、それほど知られていない偉大な業績も多く、その天才っぷりに改めて驚嘆したり、やはりアナロジーは数学の哲学でこそ研究されるべきだなあとか、素朴に思ったりした。重要なのは、数学の研究が、応用に結びついていることだろう。ポアンカレの体系的な研究は、難しいかもしれないが、たとえば、今日扱ったところでは、純粋数学における微分方程式についての理論的研究が自然科学における無線電信についての実践的成果を伴っていて、おもしろいところである。ちょいちょい逸話を挿入してきて、どんだけ細かく調べたら気が済むんだと、ちょっとお腹いっぱいになりそうになったが、そういう資質が歴史家には求められるのだろう。個人的には、内容よりも研究手法がとても勉強になった。2人での共同発表で、語りはエネルギッシュで、聴いててなんだかこちらも元気になってきた。あと、ラグランジアンの主催者と知り合った。ラグランジュライプニッツをかなり参照しているらしく、いろいろ教えてくれる約束をもらった。まあ、これは良くあるリップサービスだろう。

帰ってはいつも通り腹痛に悩みつつ、送った書類のフランス語の拙さを嘆きつつも直しつつ、今後の研究について少し考えてみる。そういえば、フィルターについては、あれからアンリ・カルタンを結局参照した。私もエピステモローグのはしくれである。また今日、トポローグである友人と話して、それを参考に後でマルセイユの図書館にてトポロジーの教科書をひも解いていたら、数学的な理解とともに歴史的背景も多少わかってきた。なかなかおもしろいので、もう少し深く研究してみたいと思う。こういった方向こそ、本業に違いない。

PS. 明日、誕生日。