labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

Rationalité provencale

朝は先週の講義の復習をしてから大学へ。ん。こっちの講義も独りか。登録している学生がいない場合、講義の義務は発生しないが、とりあえず今日の講義はやってくれる。お。いきなり4章からですか。そこまで予習はできなかったけど、講義は普通についていけた。証明の難点を指摘して、ヴザヴェレゾンをいただく。ロジックをやる理性はまだ残っているのかなあ。残っているといいな。学生が遅れて来たので、講義はこれからも正式に続きそうでうれしい。
そのままアグレガシオンの講義。いきなり「存在」についてイントロダクションを書いてこいと課題を出されて、果たして学生たちがどれほどのことを書けるのだろうか。学生たちの発表を聞く。みな若い。余計な知識がないというのは、新鮮である。誰も答えられないと、自分にふられてしまう。既知の語彙の範囲内でちゃんと答えられてほっとした、小さい自分がいる。自分は彼らとは違う視点で講義を受けている。論文の書き方だけでなく、講義の仕方、そして議論の組み立て方を学ぶ。今日の話題は、ホッブズの『リヴァイアサン』、ヒュームの『人間本性論』、ほか。いったい、いつ準備してるんだろう。
昼、哲学の学生たちとたむろ。どんどん人数が増えていく。合理的な会話のために円陣が形成されるが、かえって合理的でないことになる。これは朝の講義で話していた集合的な合理性の問題につながるなと、思わずニヤけてしまった。受験生ならもっと殺伐としたらいいのにと思うが、やはりここは南仏。これも一つの合理性なのだろうか。まあ怒らすと恐そうだ(みんなごついし)。エクスのあまり知られていないある門に、la Liberté ou la Mortって書いてあるのは、多分伊達じゃない。博愛を尊び、集合的でも自由を否定しない、そんな合理性。
図書館に少し寄ってから、郵便局に荷物を受け取りに。どうも配達所が最寄郵便局の登録を間違えているらしいので、今度電話しないと。散歩中に次の論文のアブストラクトを練る。受け取った荷物は、プチプチで梱包されているのに中の本がダメージを受けていて、少し悲しい。梱包はダンボールでしないとダメだ。
部屋に戻ると、自分の住んでいる階に警官がわんさか。なにやらただごとじゃないことが起きている模様。隣人に聞いたところ、犯人がたてこもっているとかなんとか。あんま興味ない。日常の感覚が麻痺しつつある。忘れないうちにと、考えていたアブストラクトを起こすが、いまいち。資料やレジュメを見直して書き直さないと。自分の合理性に自信がない。