labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

日本ライプニッツ協会@神戸大学(11/12・13)での発表を終え,関西より千葉に帰宅しました.

「存在と非存在のあいだ―ライプニッツにおける虚量の存在論―」

というタイトルで,スライド発表をしました(レジュメ付き).

ライプニッツ業界では,まだ誰も本格的にチャレンジしていないテーマだろうと思います.

発表では,まず,かんたんに虚量のステータスについて歴史を振り返った後,ライプニッツの虚量に関する数学論を整理して,それから,存在論を論じました.

予想通り,質問は後者に集中しました.

会場では,たくさんのご質問およびコメントをいただき,ありがとうございました.さらに練り直して,ご質問やコメントを役立てられればと思います.

発表はクリアとのことでしたが,存在論のところで,まだまだ勉強が足りないところが出てしまいました.
今回の発表は,どこら辺までライプニッツが虚量の存在論に踏み込んでいるかを出来る限りで攻めてみたものですが,ライプニッツはそこまで十分に議論にしてくれているわけでもないので,裏をとるのが,なかなか苦しいところでもありました.

自分としては,ライプニッツが虚量の存在論に踏み込んでいる可能性は十分に示せたのではないかと思いますが,発表で触れた,理性的存在(ens rationis)とのつながりを十分に議論できるかどうか,数学に特殊な虚構のステータスを見いだせるかどうかなど,まだ良く分かっていないところがあり,そこを見事に付かれました.

的確な質問が出たのは,議論をクリアにしようとがんばったからだと思いたいですね.最低限の条件で,あたりまえなんですけど.

今後としては,形而上学とのつながりが十分に論じられるようであれば,そのままの方向で議論を固めて行けばいい気がしますが,うまくいかなければ,やはりそこにライプニッツに限界があったということになるので,それはそれで一つの結果になりそうです.

問題は,決定的な資料があるかどうか.断片的な資料をつなぎあわせて議論するしかないのですが,虚量のステータスについて本格的に論じてくれているものがあれば,おそらく,国際的にも,初の成果になるかと思っています.

そういうわけで,もう少しがんばって調べて,なんとか論文に仕上げたいなと思います.