labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

朝、ノルマ。昼からまた図書館で。書き溜めていた研究日誌をテクストエディタで整理してたら目がちかちかしてきた。しかも、前のおばあさんとおそらくそのお孫さんがお絵かきに夢中になって、ずっと机をぐらぐらゆらしていたため、画面に酔って気分が悪くなってきた。あれれ、むしろおばあさんの方が夢中になっておるがな。うええ、紙媒体でないと考察はもう無理っぽい。あー、船が塗り終わりましたか、良かったねー、ボク。そして助かった、自分。

夜、B氏来訪。街に飲みに出かける。こちらは最近の研究のことなどを話す。つまらない話ですまん。彼からはロラン・バルト講釈を受ける。へー、おもしろそう。記号論が気になるっす。でも、最近の研究が悪い意味でスコラ的になってきてしまっているし、あれこれと広げる気にもならない。貧困な註釈の連鎖から脱していいかげん豊かな数学に集中したい今日この頃。でも論文を書かなくては。ライプニッツで論文を書いていなくて久しいし。自分の場合、書き途中の論文は寝かしたらダメで、一気に書き上げないといけないようだ。覚えておこう。問題がかなり難しいところにきていることもあるが。こんな調子でずっと今後の研究人生が続くなら、いっそすぱっとやめてしまった方が身のため世のためかもしれない。でも優柔不断なので多分無理。これでも哲学専修のはしくれなので、問題追求型でありたい。なんてことを考えつつ聞いていたら、話はいつのまにか彼の愚痴へと展開。過去に教授との関係が上手くいかなくて苦労したらしい。彼は決して口にしないが、人種的な問題も大きいだろう。それはとても不幸なことだ。しかし、せっかく博士課程まできたのに、良い研究をして、教授に見返そうと思っていないようなのが残念だ。本人にとっては無駄な時間にならなくとも、世間は厳しくそれを無駄な時間とみなすのだし。ああ他人事ではないな。

自分の場合、たいていの失敗が自分の無能さに帰ってくるだけなので、愚痴はあまり言えないな。フランスの社会はあらゆる点でルーズだが、そのせいか規則はゆるゆるで、そこにネゴシアビリテが生じる点は興味深い。能率は悪いがなんかそこが人間的なのかもしれない。まあ基本的にはダメなんだけど。滞在許可証の発行に3ヶ月、ディプロームの発行に半年もかかる国って。ただの紙っぺらなのにね。まあお役所の事務なんて何もおもしろ味のない仕事だろうし、むしろ律儀な日本の方がどうかしているのかもしれない。それに人生の価値観がちとずれとるんだろう。推量が多すぎるなしかし。