labyrinthus imaginationis

想像力ノ迷宮ヘヨウコソ…。池田真治のブログです。日々の研究のよどみ、そこに浮かぶ泡沫を垂れ流し。

『ライプニッツを学ぶ人のために』

来ました。
ついに刊行予約が開始刊行されました。というわけで、ライプニッツに関わる一学徒として宣伝を敢行。

ライプニッツを学ぶ人のために

ライプニッツを学ぶ人のために

以下は内容紹介の記事の引用です。

内容紹介
十七世紀の巨人・ライプニッツの論理学、普遍記号法、数学、自然学、生命論、認識論、倫理学形而上学、美学、中国学について解説し、世界におけるライプニッツ研究の成果や動向等も紹介する本邦初のガイドブック。「資料編」もきわめて充実。


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つまり、私(たち)のための本ですね(出版の日には私は日本にいないので、できればください。その期待のために、私は予約を敢えてしません。追記。もらえなかったので、買いました。一冊目は上野で紛失したので、二冊も買いました。)

同書の構成、扱われている主題、執筆人は、以下の通り。敬称は略します。

第I部
第1章 論理
 1 ライプニッツの論理学…山内志朗
 2 普遍記号法…松田毅
 3 ライプニッツの数学…林知宏

第2章 自然
 1 アインシュタイン相対性理論から見たライプニッツ…ハルトムート・ヘヒト(酒井潔・訳)
 2 生命論…池田義昭

第3章 人間
 1 ライプニッツにおける人間の認識―視点、表象、魂…谷川多佳子
 2 倫理学の見果てぬ夢…佐々木能章

第4章 モナド
 1 存在と理由のはざまで―ライプニッツ形而上学―…酒井潔
 2 ライプニッツの美学…米山優
 3 ライプニッツの世界モデルを間文化的に読む…リタ・ヴィドマイアー(来栖哲明・訳)

第II部 資料編
 1 ライプニッツの主要著作・書簡解題…酒井潔、佐々木能章
 2 テクストについて…酒井潔
 3 研究文献案内
 4 ライプニッツ小事典(用語解説)…酒井潔、佐々木能章
 5 ライプニッツ略年譜…佐々木能章

人名・著作名索引(清水洋貴)
事項索引(長綱啓典)


読んだら間違いなく凹みそうですが、私もまだ若い(?)と思うので、これから頑張って諸先輩方を追いかけてまいりたいと思います。しかし花の50's(便宜的にこう呼ばせていただく。呼称はのちのち検討していかねばなるまい)には追いつける気がしません(むろん、同じ年齢のときを比較して)。出版が学会発表後で助かりました。

(追記。だいたい読みました。一般や初学者向けにわかりやすく最先端の研究状況が書かれていて、これを入手できる若い学生はとてもうらやましいです。実際は本格的な論文ばかりであり、必ずしも一般向けとは言えないかもしれません。生意気だという叱責を恐れずに忌憚なく感想を言えば、紙幅の制限や入門書としての性格上、自分が専門的にやっているところに関しては物足りないなと思う部分もありました。もっとも、簡明な表現のうちに深い研究へのヒントとメッセージがそこにあることは確かで、それを読み取ろうと現在再読中です。資料編にも、意外にも見落としていた資料があったりして、結構あわてたりしています。時代の要請とはいえ、安易な入門書があふれ哲学の通俗化が危惧される今日、本書は一方で入門書でありながら他方で専門家を養成するための高度な内容をも兼ね備えています。執筆された先生方および索引を手伝われた諸兄の努力に敬服するものです。『デカルト論集』があるように、今度はライプニッツの研究論文集も出してほしいなあと思ったりします。)